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2020年の医療機器の規格・規制の情報&リンク

 

seminar schedule

 

 2020年12月の情報

欧州規制関連情報

医療機器製造業者への遠隔監査(Remote Audit)実施に係わる質疑応答集(MDCG 2020-17)の発行について

2020年 12月、EU の MDCG(Medical Device Coordination Group)より、新型コロナウィルスのパンデミック期間における医療機器製造業者への遠隔監査(Remote Audit)実施に係わる質疑応答集(MDCG 2020-17)が発行されましたのでご紹介します。

解説:
この文書は、2020年 4月に発行された文書(MDCG 2020-4)に対して提起された質問に対する回答書と位置づけられています。欧州規制に基づいた初回認証監査や認証範囲拡張監査について、MDCG 2020-4 に規定された原則の下で、遠隔監査が実施される可能性があると明記されています。同様に、既存又は新規の重要委託先/重要供給者(critical subcontractors/suppliers)に対する監査についても、遠隔監査として実施される可能性があると明記されています。本文書は、監査を実施するノーティファイドボディに対して発行されたものですが、医療機器製造業者にとっても一読に値するものと思われます。

参考:文書のダウンロード
MDCG 2020-17 Questions and Answers related to MDCG 2020-4


厚生労働省関連情報

厚生労働省発出の新しい通知をご紹介します。

薬生機審発 1224 第1号
令和2年 12 月24 日

医療機器及び体外診断用医薬品のリスクマネジメントに係る要求事項に関する日本産業規格の改正の取扱いについて

解説:
医療機器及び体外診断用医薬品のリスクマネジメントの規格 JIS T 14971:2012 が JIS T 14971:2020 へ改正されたことに伴い「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」における取扱いを示した通知です。

「令和5年 9月 30日(経過措置期間終了日)の翌日以降に、新規の承認申請又は認証申請(承認事項一部変更承認申請及び認証事項一部変更認証申請を含む)を行う場合、当該医療機器及び体外診断用医薬品について改正後 の JIS を適用」と記載されています。

参照:文書のダウンロード
薬生機審発 1224 第1号  [ PDF ]


台湾規制関連情報

台湾における新医療機器法の公表と、医療機器の市販後監視と報告に関するガイダンス文書草案の発行について

2020年 1月に台湾で、台湾食品医薬品局(Taiwan Food and Drug Administration: TFDA)により、新医療機器法が公表されています。また、2020年 10月 8日には、市販後規制要求事項に関する二つのガイダンス文書の草案が講評され、これらの意見募集が公示されましたのでご紹介します。

解説:
新医療機器法が公開されましたが、その施行日はまだ明確ではありません。市販後規制要求事項に関して発行されたガイダンス文書の草案は、医療機器安全監視管理方法に関するものと、医療機器の不具合事象報告に関するものになります。後者のガイダンス文書草案には、報告すべき項目、手順、期限等が定められています。

参照URL:新医療機器法
https://law.moj.gov.tw/ENG/LawClass/LawAll.aspx?pcode=L0030106

参照URL:市販後規制関連ガイダンス草案
https://www.fda.gov.tw/TC/newsContent.aspx?cid=5072&id=26451
https://www.fda.gov.tw/TC/newsContent.aspx?cid=5072&id=26448

これらの文書について、2021年2月9日に予定している「台湾医療機器関連規制セミナー」で解説を予定しています。


米国規制関連情報

医療機器のEMCガイダンス文書改定草案の発行について

2020年 11月 17日に米国 FDA より、医療機器の EMC ガイダンス文書改定草案が発行され、これの意見募集が公示されましたのでご紹介します。

解説:
本ガイダンス文書(草案)には、医用電気機器の 510(k) 申請、PMA(市販前承認)申請や De Novo 申請を実施する際に、EMC に関して必要となる情報が記載されています。2016年に発行された文書(6ページ)に比べ、より詳細な解説が加えられた文書内容(20ページ)になっています。例えば、機器内に無線技術や高周波送信器が含まれる場合、機器の EMC 特性をどのように記述するかについて、詳細な指示が記述されています。さらに、EMI(電磁妨害)発生時に、何が発生し、患者・使用者に対する危害それぞれを分類するなど、リスク評価方法が具体的に指示されています。

参照:文書のダウンロード
Electromagnetic Compatibility (EMC) of Medical Devices Draft Guidance


英国(UK)規制関連情報

UKNI マーキングガイダンスの発行について

2020年 10月 30日に、英国(UK)政府は、英国(UK)の EU 離脱移行期間が終了する 2021年 1月 1日から適用開始する「UKNI マーキング」についてのガイダンスを発表しましたのでご紹介します。UKNI マーキングとは、英国(UK)の北アイルランド地域で流通させる製品が法令で定められた要件を満たしていることを示すためのマーキングとなります。

解説:
英国(UK)の一部である北アイルランドは、ベルファスト合意(Good Friday Peace Agreement)により EU 加盟国であるアイルランド共和国との国境に検問所等がありません。つまり、北アイルランド地域は EU 域内でもあり、かつ英国(UK)域内でもある形になります。この特別な状況を解決するために、英国政府は UKNI マーキング使用に関するガイダンス文書を発行しました。北アイルランドでは 2021年 1月 1日以降も、EU の CE マーキングの使用が許容されます。一方で、第三者適合性調査のために英国所在の認証機関を利用する場合は、機器を北アイルランドで Placing on the market するためのマーキングである UKNI マーキングが必要となります。

参照URL
https://www.gov.uk/guidance/using-the-ukni-marking-from-1-january-2021

 

2020年11月の情報

EU 規制関連情報

IVDR クラス分類ガイダンス文書の発行について

2020年 11月、EU の MDCG(Medical Device Coordination Group)から IVDR クラス分類ガイダンス文書(MDCG 2020-16)が発行されましたのでご紹介します。

解説:
かなり以前から発行が予告されていた文書です。IVDR 対策上、重要なガイダンス文書となります。IVDR 附属書 VIII に記載されたクラス分類ルールごとに、ルールの意図や解釈とともに、代表的な対象 IVD Medical Device がリストアップされた資料となります。

例えば、38ページでは、Rule 5 に基づいて Class A に分類される対象 IVD Medical Device として以下の例示があります(以下は記載が少し簡略化されていますので、正確には原文をご参照ください)。

・General microbiological culture media
・Solution
・Pipette
・General staining reagents
・Kits for Isolation and purification of nucleic acids
・Library Prep reagents for preparation of DNA
・Nucleic acid quantitation kits.
・General reagents (not assay specific) used with a Class A instrument

参照:文書のダウンロード
MDCG 2020-16 Guidance on Classification Rules for in vitro Diagnostic Medical Devices under Regulation (EU) 2017/746 [ PDF ]


米国規制関連情報

510(k) 申請ガイダンスの紹介


最新の文書ではありませんが、2019年9月に発行された 510(k) 申請ガイダンスは、米国規制対応上、重要な文書ですのでご紹介します。

510(k) 申請資料は、基本的にガイダンスに基づいて準備します。もし製品カテゴリ特有のガイダンスがある場合はそれに従う必要がありますが、下記の文書は、最も基本となる 510(k) 申請のガイダンスとなります。本文書の 6ページで申請資料が (1) から (20) まで指定されており、その準備方法の情報が記載されています。また例えば、その中の (3) 510(k) Cover Letter の準備方法は、8ページに記載されています。

参考:文書のダウンロード
Format for Traditional and Abbreviated 510(k)s Guidance for Industry and Food and Drug Administration Staff


米国規制関連情報

ISO 10993 に関する最終ガイダンス文書の更新について


2020年9月4日に米国 FDA より、医療機器製造業者がその生体適合性評価のために国際規格 ISO 10993 をどのように利用するかを明記した最終ガイダンス文書の更新版が発行されましたのでご紹介します。

解説:
本ガイダンス文書は、2016年に発行された最終版が更新されたものです。まずリスクマネジメントの重要性が強調された後、FDA 特有の要求事項に沿って ISO 10993-1 を利用することが明記されています。ポイントは、医療機器の生体適合性評価の評価項目を決定するためのマトリクスが、ISO 10993-1:2009 のTable A.1から修正され「FDA Modified Matrix」としてFDA推奨の評価項目が追加されている点となります。更に、デバイスマスターファイルの中に綴じるべき情報、510(k) 申請、PMA(Pre-Market Approval、市販前承認)申請やDe Novo申請をする市販前申請者のために必要とされる情報源が記載されています。

参照:文書のダウンロード
Use of International Standard ISO 10993-1, "Biological evaluation of medical devices - Part 1: Evaluation and testing within a risk management process


欧州規制関連情報

EUDAMED の Actor registration module の利用開始について

2020年10月20日に欧州委員会より、EUDAMED へ登録する当事者にとって必要な手続きを説明する新規 WEBページが公示されましたのでご紹介します。

解説:
EUDAMED は、2020年12月1日より稼働開始予定です。6つのモジュールの中から、まずは、Actor registration モジュールが利用可能になります。製造業者、指定代理人、輸入業者、流通業者を含む全ての Economic operators は、SRN(Single Registration Number)を受け取るために、EUDAMED にて Actor registration 要求を提出する必要があります。この要求は、規制当局によってレビューされ、承認後に SRN が生成されるようです。尚、EU域外の製造業者は、そのレビューに先立って、指定代理人がレビューしなければならないとあります。

参照URL
https://ec.europa.eu/health/md_eudamed/actors_registration_en

 

2020年10月の情報

英国(UK)規制関連情報

UKCAマークを含む2021年1月1日以降の医療機器法規制に関するガイダンス文書の発行について
 
2020年9月1日に英国医薬品庁(MHRA)より、2021年1月1日以降の医療機器を Place on the UK market するための要求事項の要約が発行されましたのでご紹介します。英国市場での医療機器ビジネスを継続する上で、非常に大きなインパクトのある内容と思われます。
 
解説:
英国が欧州を離脱し、今年の年末にその移行期限を迎えるに先立って発行されたガイダンス文書です。英国は2023年6月30日まで CEマーキングされた医療機器を受け入れる一方で、2021年1月1日に UKCA マークが展開され始めるとしています。また、MHRA は、UKCA マークのための適合性評価を実施する UK Approved Bodies を指定する予定です。2023年7月1日以降、医療機器を Place on the UK market するためには、UKCA マークが必要とされると明記されています。あわせて、2021年から英国での医療機器登録が開始されること、英国外の製造業者は UK Responsible Person が必要となることなどが記載されています。
 
参照URL
https://www.gov.uk/guidance/regulating-medical-devices-from-1-january-2021


 
厚生労働省関連情報

QMS 省令の改正省令案のパブコメ募集について
 
2020年10月16日に厚生労働省・監視指導麻薬対策課より、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)の一部を改正する省令案に関する意見募集が公示されましたのでご紹介します。
 
解説:
ISO 13485 が 2016年版へ改正されたことに伴い、その改正内容を QMS 省令に反映させた改正案に対する意見公募です。その施行期日は、公布予定日としている令和3年3月中旬としており、3年間の経過措置期間を設けると記載されています。
 
ISO 13485:2016 と QMS 省令改正案には、幾つかの違いがあるようです。例えば、設計・開発の検証に関する要求事項には、次の通りです。ISO 13485 では、設計・開発の検証において「適切な場合」サンプルサイズの根拠となる統計的手法を計画で示すことを求めていますが、これは、もし統計的手法を用いない場合は、他の方法の妥当性を示す必要があると解釈されます。QMS 省令改正案では、この部分が「統計学的方法を用いる場合」その方法を明確にするという主旨の記載になっています。
 
ISO 13485:2016(日本規格協会発行 ISO 13485:2016 日本語版より引用)
組織は,方法,許容基準を含む検証計画を文書化する。
また,適切な場合,サンプルサイズの根拠となる統計的手法を検証計画に含める。
 
QMS 省令改正案(パブリックコメントより引用)
製造販売業者等は、設計開発の検証やバリデーションに統計学的方法を用いる場合は、その方法及びバリデーションの適否に係る判定基準を明確にした上で、計画を文書化しなければならないこととする。
また、設計開発の検証又はバリデーションの対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用又は操作される医療機器等である場合においては、一体的状態を維持したまま設計開発検証を実施しなければならないこととする。
 
参考:パブリックコメント:意見募集中案件詳細
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495200257&Mode=0


規格関連情報
 
以下の規格が10月1日に発行されました。医療機器メーカーにとって非常に重要な規格であると思われます。いずれも日本規格協会から購入していただけます。

JIS T 14971:2020 
医療機器 ― リスクマネジメントの医療機器への適用
関連URL
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JIS+T+14971%3A2020

TR T 24971:2020 
医療機器 ― JIS T 14971 適用の指針
関連URL
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=TR+T+24971%3A2020

 
※これらの内容は、基となった国際規格 ISO 14971:2019、ISO/TR 24971:2020 と同じです。
  ISO 14971:2019 の解説は、以下のセミナーでご提供しています。

ISO 14971:2019 改正対策勉強会

ISO 14971:2019 医療機器のリスクマネジメントセミナー

欧州規制関連情報

単回使用医療機器のリプロセッシングのCommon Specificationsの発行について


2020年8月19日に欧州委員会より、単回使用医療機器のリプロセッシングの Common Specifications が発行されましたのでご紹介します。

解説:
この Common Specifications には、単回使用医療機器の再使用のルールが規定されています。例えば第7条では、リプロセッシング・サイクルの数え方が明記されています。また、第9条では、リプロセッシングされる単回使用医療機器おのおのに対する Unique Device Identification-Device Identifier (UDI-DI) に準じて確保されるべき文書に関する具体的な要求事項が記載されています。

参考:文書のダウンロード
COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) 2020/1207 [ PDF ]

 

 2020年9月の情報

MDSAP 関連情報

MDSAP Audit Approach の発行について


2020年9月1日に米国 FDAより、MDSAP Audit Approach 文書が発行されましたのでご紹介します。

解説:
この MDSAP Audit Approach 文書は、これまでの MDSAP Audit Model と MDSAP Companion Document(コンパニオンドキュメント)にとって代わるものです。移行期限は 2020年10月30日(監査実施)からとされています。従来の MDSAP Companion Document に比べて、タスクの題名が記載され、それぞれの主文は段落分けされた体裁に修正されました。さらに、主文の修正や追加、説明の追加など、幾つかの記載が更新されています。医療機器不具合事象と通知書の報告に関する簡易参照が附属書3に、契約書に関する要求事項が附属書4に新たに加わりました。

参考:文書のダウンロード
MDSAP Audit Approach [ PDF ]

関連セミナー
MDSAP Audit Approach 文書解説セミナー


欧州規制関連情報

欧州での UDI 施行に関するよくある質問集(FAQ)改訂版の発行について
 
2020年8月10日に欧州委員会より、UDI 施行に関するよくある質問集(FAQ)改訂版が発行されましたのでご紹介します。

解説:
FAQ 改訂版における重要点は、6章記載の UDI 施行スケジュールとなります。MDR 適用日の一年延期及び EUDAMED 適用の遅延が反映された形で、EUDAMED データベースにおける UDI データの提出義務発生期日、及び UDI キャリア(UDI Carrier)の機器への表示義務発生期日が見直されました。EUDAMED が MDR 適用期日である 2021年5月26日までに稼働しなかった場合、EUDAMED 稼働日から24か月後より UDI データの提出義務が生じるとされています。また、Class IIa 機器の場合、UDI キャリアの機器への表示義務は 2023年5月26日より発生すると明記されています。

参考:文書のダウンロード
UDI System under the EU medical devices Regulations [ PDF ]

 

 2020年8月の情報

欧州規制関連情報

再使用可能な外科用器具に関する審査チェックリストについて


Team NB(ノーティファイドボディの欧州医療機器協議会)より発行されている、再使用可能な外科用器具に関する審査チェックリストを紹介します。

解説:
本文書の Annex I は、再使用可能な外科用器具の取扱説明書の審査を欧州整合規格である EN ISO 17664:2017 に基づいて実施するためのチェックリストとなります。一般的に Class I 機器は取扱説明書添付は必須ではありませんが、再使用可能な場合は「安全な再使用のための適切なプロセス」を取扱説明書で示すことが求められており、取扱説明書が必須としています(参照:MDD Annex I 13.6h、MDR Annex I 23.4n)。その上で取扱説明書は、欧州整合規格 EN ISO 17664:2017 に基づいたものであるべきとしています。

以上は MDD も MDR も同じ解釈です。異なる点は、MDD では Class I 再使用可能な外科用器具が審査対象外であるのに対して、MDR では審査対象となっていることです。

本文書の Annex II は、再使用可能な外科用器具のリプロセッシングのための滅菌方法が、適切にバリデーションされているかどうかの審査を、欧州整合規格である EN ISO 14937:2009 に基づいて実施するためのチェックリストです。

MDR には、再使用可能な医療機器について「適切な場合は、バリデーションされた滅菌方法を取扱説明書に記載しなければならない」という記載があります(参照:MDR Annex I 23.4n)。また本文書では、バリデーション実施においては、欧州整合規格である EN ISO 14937:2009 を順守すべきであるとしています。

厳格化される MDR 適合性評価へ向けて製造業者が準備する上で、是非、利用していただきたいガイダンス文書です。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
Instructions For Use for reusable and re-sterilisable Medical Devices [ PDF ]

関連セミナー
欧州医療機器規則(MD REGULATION)改正対策勉強会


欧州規制関連情報

MDR/IVDR 定期監査における MDSAP 監査報告書の使用に関するガイダンス文書 MDCG 2020-14 の発行について

2020年8月に欧州委員会 MDCG (medical device coordination group) より、MDR/IVDR 定期監査における MDSAP 監査報告書の使用に関するガイダンス文書MDCG 2020-14 が発行されましたので紹介します。

解説:
本ガイダンス文書は、医療機器の製造業者ではなく、ノーティファイドボディのための文書ですが、MDR/IVDR 定期監査計画を立てる際に、どのようにノーティファイドボディが MDSAP 監査報告書を参照すべきを詳細に説明しています。MDSAP 監査報告書の内容は、定期監査において考慮することができると記載されており、その詳細を記した附属書が添付されています。例えば、MDR/IVDR 定期監査では、MDSAP 監査でカバーされていない MDR/IVDR 特有の要求事項に重点を置くことや、MDSAP 監査報告書に記載された不適合の側面に注意を払うような監査計画を立てる可能性があると記載されています。なお本文書は、MDSAP 認証書により、ノーティファイドボディが MDR/IVDR 定期監査実施を免除することは想定していません。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
MDCG 2020-14, Guidance for notified bodies on the use of MDSAP audit reports [ PDF ]

関連セミナー
MDSAP の最新動向とコンパニオンドキュメントをめぐる監査対応


国際規格関連情報

IEC 60601-1-6:2010 / AMD2:2020 が発行されました。

解説:
IEC 60601-1 及び日本の規制上の承認・認証基準としても用いられている JIS T 0601-1 は、本規格 IEC 60601-1-6 を引用しています。今回の Amendment により IEC 60601-1-6 が IEC 62366-1 を引用する形になりました。これは IEC 60601-1、JIS T 0601-1 への適合を示すためには IEC 62366-1 への適合を示す必要があるという解釈となります。

IEC 60601-1-6 は現時点では JIS 化されていませんが、今回出された AMD2:2020 版を基に JIS 化の動きが始まるようです(現時点では JIS T 0601-1 は、国際規格である IEC 60601-1-6 を引用しています)。

一方で欧州整合規格は、ひきつづき IEC 62366:2007 をベースとした欧州規格 EN 62366:2008 という状況が維持されています。

関連 URL(該当の国際規格はこちらで購入できます)
https://webstore.iec.ch/publication/59645

関連セミナー
医療機器のユーザビリティエンジニアリング解説セミナー


欧州規制関連情報

臨床評価審査報告書テンプレート MDCG 2020-13 の発行について

2020年 7月 17日に欧州委員会 MDCG (medical device coordination group) より、臨床評価審査報告書テンプレート MDCG 2020-13(Clinical evaluation assessment report template: CEAR)が発行されましたので紹介します。

解説:
本テンプレートは、医療機器の製造業者ではなく、ノーティファイドボディが使用するものですが、どのように臨床評価プロセスのアウトプットを MDR 関連要求事項に適合させるべきかを製造業者が理解するために利用できるものです。

臨床評価における他の医療機器との同等性の立証については、従来より厳しい審査基準を示しています。例えば:

・臨床文献(Clinical literature)に関し、同等性の主張を正当化するために参照医療機器に関するデータへのアクセスに関して審査するように記載されている。
・技術的、生物学的、臨床的特性を含め Annex XIV Section 3 に基づいた評価した上で同等であるとしているか審査するように記載されている。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
MDCG 2020-13 Clinical evaluation assessment report template


米国規制関連情報

Class I 医療機器及び未分類の医療機器等への UDI 規則の施行延期について

2020年7月1日に米国 FDA より、UDI 規則の施行延期に関する最終ガイダンス文書が発行されましたので紹介します。

解説:
本ガイダンス文書は、Class I 医療機器、及び埋込、生命維持用途ではない未分類の医療機器に対するものです。これらの医療機器の UDI 規則の施行日は、2020年 9月24日でしたが、2022年 9月24日へ延期されています。FDA は資金を Covid-19 公衆衛生危機の解決のために転用するためと説明しています。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
Unique Device Identification: Policy Regarding Compliance Dates for Class I and Unclassified Devices


国際規格関連情報

以下の国際規格が発行されていますので紹介します。

IEC 62366-1:2015/AMD1:2020 
Amendment 1 - Medical devices - Part 1: Application of usability engineering to medical devices

解説:
医療機器のユーザビリティの国際規格、IEC 62366-1 の Amendment となります。本 Amendment の基本的な意図は、引用規格を ISO 14971:2007 から ISO 14971:2019 に変更することだと考えられますが、それ以外の記載変更も多々行われています。特に5.9項において使用エラー(use error)の明確化に加えて、使用の困難さ(use difficulties)の明確化を求めている点が注目されます。使用の困難さ(use difficulties)の明確化というコンセプトは Amendment 実施前にはなかったためです。

関連URL
https://webstore.iec.ch/publication/59980


英国のEU離脱(BREXIT)に関する分野別ガイダンス文書の発行について

BREXIT の移行期間終了後に起こり得る避けられない変化に対して各国当局や産業界、市民の準備を促すために、2020年7月9日に欧州委員会より、コミュニケーション「変化に備える」と共に分野別ガイダンス文書が発行されましたので紹介します。

解説:
本ガイダンス文書内の幾つかのガイドラインは、医療機器及び体外診断用医療機器(IVD機器)を含むCEマーキング製品に関連するものです。

基本的には英国は、EU から Third Country と見なされ、移行期間終了後は在英国の指定代理人は認められないこと、英国のノーティファイドボディは資格を失いデータベースから削除されることなどが記載されています。なお移行期限である2020年12月31日までに、EU域内或いは英国国内に持ち込まれた製品は、再認証なしに、引き続き Making available in the market が可能であり、Putting into service が可能であると記載されています。また、2020年12月31日以降、北アイルランド域内で適用可能なルールに関しても説明がなされています。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
WITHDRAWAL OF THE UNITED KINGDOM AND EU RULES IN THE FIELD OF INDUSTRIAL PRODUCTS


米国規制関連情報
医療機器施設への査察に関する最終ガイダンス文書の発行について


2020年6月29日に米国 FDA より、医療機器施設への査察に関するガイダンス文書が発行されましたので紹介します。

解説:
これまで FDA 査察は、査察官毎に査察のアプローチが必ずしも統一されていませんでした。本ガイダンス文書は、アメリカ国内外の医療機器施設に対して、for-cause 査察以外の査察実施プロセスの均一化を目的としています。

例えば、以下の内容を記載されています。

事前通知
・事前通知は、査察官から、対象事業所の代表又は代理人に電話で実施する。
・米国国内の査察は、5労働日より前に事前通知を実施する。
・ただし米国国外の査察は、5労働日よりかなり前のタイミングの通知が必要となると考えられる。
・被査察側は、事前通知を受けた時点で、通知を受領した旨を返答することが求められる。
・事前通知には査察の種類が示される(サーベイランス査察、PMA 承認前査察など)。

査察日数
・査察日数は条件により変わるが、3日から6日となる。
・査察官は、事前通知時に想定される査察日数を通知する。
・ただし、査察中に、査察期間が延長される場合がある
・延長が必要となった際は、査察官は、口頭で延長の正当な理由を示すこと(それができなければ延長はされしない)。

査察期間中
・時間が許せば、査察官は観察事項を発見都度、あるいは毎日、被査察側に伝えるよう努力する。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
Review and Update of Device Establishment Inspection Processes and Standards

 

2020年7月の情報
欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(7)>


2020年6月10日に欧州委員会 MDCG (medical device coordination group) より、コンビネーション機器の EU 認証移行規定に関するガイドライン MDCG 2020-12 が発行されましたので紹介します。

解説:
MDCG 2020-12 文書は、MDD の下で認証されたコンビネーション機器に対して、MDR の認証を申請する際にはコンサルテーションが必要であると改めて明記しています。ここで解説しているコンビネーション機器とは、医薬品として考慮される物質を含む機器、補助物質(ancillary substances)を含む機器、及び伝達性海綿状脳症(Transmissible spongiform encephalopathy、略称 TSE)の影響を受けやすい動物由来の組織を含む機器です。また、EMA や規制当局のコンサルテーションに関する要求事項を除外することを正当化するために使用される恐れのある用語について、追加的な説明が明記されています。

参考:ガイドラインのダウンロード
MDCG 2020-12 [ PDF ]    

 

2020年6月の情報
欧州規制関連情報
 
一般データ保護規則(GDPR)に関する欧州委員会報告書の発行について
 
2020年6月24日に欧州委員会より、その適用開始から2年を経た GDPR の評価報告書が発行されましたのでご紹介します。

解説:
本評価報告書では、改善の余地があるとしつつも、加盟国全域で GDPR に関する協調が高まっており、規制当局はより強力な法的権限を行使しつつあるとあります。そして、事業者は法令順守の文化を進展させ、競争上の優位性として強力なデータ保護をますます使用しつつあると記載されています。さらに、個人データの越境データ移転に関する日欧間の合意は、過去2年間の重要な成果であると述べられています。現地でビジネスを展開する日本企業にとっては、課徴金など思わぬ罰則を受けるリスクがあり、海外法規制最新動向を学び続ける必要があると言われています。

関連サイト
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_1163

関連セミナー
https://www.tuvsud.com/ja-jp/services/training/ac/psms/webseminar-global/c01  

欧州規制関連情報

欧州体外診断用医療機器規則(In-vitro Diagnostic Medical Devices Regulation: IVDR)に基づいた Notified Body 指定について


2020年6月17日に、IVDR に基づいたNotified Bodyとして TÜV SÜD Product Service GmbH が指定されたことが、欧州委員会の Webサイトで公示されましたのでご紹介します。

これは4番目の指定ではありますが、IVD メーカーに対して、全ての IVD 製品カテゴリー及び全ての適合性評価ルートに従って適合性評価サービスを提供できる、初のNotified Bodyとなります。

関連サイト
https://ec.europa.eu/growth/tools-databases/nando/index.cfm?fuseaction=directive.notifiedbody&dir_id=35
  
Notification of a Body in the framework of a technical harmonization directive [ PDF ]


国際規格関連情報
 
ISO/TR 24971:2020 発行
 
ISO 14971:2019 のガイダンスである ISO/TR 24971:2020 が 6月16日付けで正式に発効されました。ISO 14971:2019 と同時期に ISO/TR 24971も発行される予定でしたが、事情により遅延していました。邦訳は10月に発行される予定です。

これまでおなじみの多くの情報(例:特質の明確化の質問、リスク評価のマトリクス表)が ISO 14971 から削除され、代わりにこの ISO/TR 24971 に記載されています。
 
関連 URL
https://www.iso.org/standard/74437.html


厚生労働省関連情報

厚生労働省発出の新しい通知をご紹介します。

令和2年5月1 3 日
薬生機審発 0513 第1号 
薬生安発 0513 第1号

国際医療機器規制当局フォーラム (IMDRF) による医療機器サイバーセキュリティの 原則及び実践に関するガイダンスの公表について(周知依頼)

解説:
2020年3月18日に IMDRF より発行された医療機器サイバーセキュリティに関するガイダンスの和訳版を別添資料とした通知が発行されました。今後3年程度を目途に、医療機器製造販売業者に対して IMDRF ガイダンスの導入に向けて検討を行っていると通知には記載されています。このガイダンス文書には、医療機器の設計及び開発に適切なサイバーセキュリティ対応を組み込むためにリスクに基づいたアプローチの採用、医療機器及び接続されるヘルスケアインフラの安全性・性能及びセキュリティの確保といった主要6原則や最優良事例が明記されています。

薬生機審発 0513 第1号 /  薬生安発 0513 第1号  [ PDF ]

IMDRF Final Document ‘Principles and Practices for Medical Device Cybersecurity’  [ PDF ]


欧州規制関連情報

ビジランスシステムに関する最新版報告様式とよくある質問集の発行について

2020年5月に、Manufacturer's Incident Reports(MIR)更新版と、その使用に関するよくある質問集が発行されましたのでご紹介します。

解説:
最新のMIRの版番号は、V7.2.1となりました。2020年 1月からの使用が義務付けられる新様式MIR(V7.2)の法規制上の要点は本Webページ「2019年8月の情報」で解説した通りです。今回発行されたよくある質問集には、それらに加え、例えば、自動的にMIR様式にデータを追加する方法など、MIR様式を医療機器メーカーの社内ITシステムへ取り込む際の助言等が全12ページ中7ページに渡り記載されています。薬事業務の効率化に資源を投入している欧米の医療機器メーカーに対する欧州規制当局の姿勢をうかがわせる文書の一つです。

参考
Questions and Answers document regarding the Implementation of the new Manufacturer Incident Report (MIR) Form [ PDF ]

Manufacturer incident report 2020 [ PDF ]

※PDFが開けない場合はこちら
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/41221

 

 2020年5月の情報

医薬品医療機器法関連情報

医薬品医療機器法に関する事務連絡を2件ご紹介します。

事務連絡 令和 2 4月 28
新型コロナウイルス感染症に係る呼吸回路等の医療機器の認証審査等に関する取扱いについて

2020年4月28日に厚生労働省より医薬品医療機器等法登録認証機関協議会へ発行された事務連絡は、新型コロナウイルス関連の医療機器の認証に係わる製造販売業者、登録製造所、自動車・電機等の医療機器関連企業以外の製造業者にとって、役立つ情報と考え、その要点をご紹介します。

解説:
登録認証機関が認証手続きに携わることができる新型コロナウイルス関連の医療機器とは、主に、人工呼吸器と接続して使用される呼吸回路等、新型コロナウイルス感染症又は関連する症状を対象とする認証基準のある医療機器(管理医療機器及び一部の高度管理医療機器)です。この事務連絡には、登録認証機関に対して、該当する医療機器の審査又は調査を優先かつ迅速に対応する旨が記載されています。また、医療機器関連企業以外の製造業者が、部材だけを製造して、人工呼吸器等の製造販売業者に供給する場合には、薬事上の手続きは不要であることも記されています。

新型コロナウイルス感染症に係る呼吸回路等の医療機器の認証審査等に関する取扱いについて [ PDF ]
 

事務連絡 令和 2 5 8
新型コロナウイルス感染症への対応における薬事関係法令に係る行政手続の押印省略等の扱いについて

解説:
医薬品医療機器法に関する手続きにおいて、本来、各種申請書等への押印は必須となります。ただし、感染症の発生に伴う緊急事態宣言を受けて代表者等の押印が困難な場合は、当面の間、許認可の申請や届出等の諸手続の代表者等の押印がない場合も受け付けて差し支えないとされています。あくまで押印が困難な場合の臨時的・特例的取り扱いとなります。

新型コロナウイルス感染症への対応における薬事関係法令に係る行政手続の押印省略等の扱いについて [ PDF ]


欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(6)>

MDCG ガイダンスが続々と発行されています。MDR 適用期日は一年延期されましたが、引き続き「MDR 適用直前特集」と題して、MDR 対策についてのヒントとなる記事を随時掲載していきます。

解説:
2020年4月24日に、欧州委員会 MDCG (medical device coordination group)より、以下5つの新規のガイダンス文書が発行されましたので、それぞれの要点をご紹介します。

MDCG 2020-5 Guidance on Clinical Evaluation – Equivalence (April 2020) [ PDF ]
MDR の下で他の医療機器との同等性を立証する場合、MDD の下で発行されたガイダンス文書 MEDDEV 2.7/1 rev. 4を参考にすべきであるが、このガイダンス文書は MDR と完全には合致してはないことを留意する必要があると記載されています。

MDCG 2020-6 Guidance on Sufficient Clinical Evidence for Legacy Devices (April 2020) [ PDF ]
MDD の下でCEマーク製品であった医療機器(legacy devices)に対する臨床評価は、ライフサイクルアプローチの一部であり、連続的な基本原理に基づくべきであると記載されています。

MDCG 2020-7 Guidance on PMCF Plan Template (April 2020) [ PDF ]
市販後臨床フォローアップ(PMCF)計画のテンプレートが提供されています。

MDCG 2020-8 Guidance on PMCF Evaluation Report Template (April 2020) [ PDF ]
市販後臨床フォローアップ(PMCF)評価報告書のテンプレートが提供されています。


MDCG 2020-9 Regulatory requirements for ventilators and related accessories (April 2020) [ PDF ]
新型コロナウイルス関連の医療機器である人工呼吸器とその付属品を素早く市場で流通させるために、異なる規制上の選択肢が説明されています。


ガイダンス文書は以下の URL で入手できます。
定期的に、こちらのサイトで最新状況を確認していただくと良いと思われます。

https://ec.europa.eu/growth/sectors/medical-devices/new-regulations/guidance_en 

 

2020年4月の情報

欧州規制関連情報

MDR 適用期日の一年延期について(4:EU 加盟国投票結果及び EU 官報掲載)

欧州理事会が MDR 適用日の一年延期案を採択しました。また、 EU 官報にも掲載されましたので紹介します。

解説:
2020年 4月 22日に欧州連合(EU)理事会は、MDR 適用日の一年延期を含む MDR 改正案についての投票を行い、全会一致で採択しました。そして、2020年 4月 24日には MDR の改正内容を掲載した官報が発行されています。

なお、医療機器指令(Directive 93/42/EEC)及び能動埋込み医療機器指令(Directive 90/385/EEC)が無効となる条項の適用も延期となります(第122条)。

この延期案は、欧州委員会の提案から 3週間以下で欧州議会で審議され、若干の修正を施した後、数日で官報で発表されました。複数の加盟国間での合意形成に時間がかかると言われている欧州において、このスピード感は注目に値するものです。

参考:
MDR 適用日延期を含む改正についての欧州連合理事会の投票結果 [ PDF 1950 kB ]

MDR 適用日延期を含む改正を含む欧州官報 [ PDF 522 kB ]


欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(5)>

MDR の適用日延長の改正内容にも関連しますので、下記のガイダンス文書について解説します。

MDCG 2020-2 Class I Transitional provisions under Article 120 (3 and 4) - (MDR)

MDR の修正票 2 の発行により、Class I 機器について、MDD の CE マーキングで EU 市場に Place on the market できる期限が延長されました。本ガイダンス文書発行の目的は、その主旨を明確にすることであると考えられます。

本ガイダンスの記載の主旨は以下となります。

Class I 機器で、以下の 5 条件を満たす場合は、2024年 5月 26日までEU 市場に Place on the market できる。

  • MDD(93/42/EEC)へ適合した機器。
  • MDR において、ノーティファイドボディの関与が必要となる。
  • 2020年 5月 26日より前に、MDD Annex VII に基づいた適合宣言が実施されている。
  • 2020年 5月 26日より後は、設計及び意図した使用についての Significant Change を実施しない。
  • 市販後監視、市場監視、ビジランス、Economic operators 及び機器の登録に関わる要求事項は、2020年 5月 26日から MDR の要求事項が適用される。

ポイント1:
「MDD Annex VII に基づいた」適合宣言という記載は Class I であっても、測定機能付き機器、滅菌機器は除外されるという意味になります。Class I 測定機能付き機器、Class I 滅菌機器は、Annex VII ではなく Annex V 又は Annex II に基づいて適合宣言をしなければならないためです。

ポイント2:
更に、MDR 適用日の一年延期を含む MDR 改正では、この条件についても改正されています。即ち「2020年 5月 26日より前に、MDD Annex VII に基づいた適合宣言が実施されている」という記載は「2021年 5月 26日より前に、MDD Annex VII に基づいた適合宣言が実施されている」が正しいことになります。

参考:
MDCG 2020-2 Class I Transitional provisions under Article 120 (3 and 4) - (MDR) [ PDF 898 kB ]

※ MDR の適用日延長の欧州官報が出ましたので「直前」ではなくなりますが、関連情報は今後も発信します。


韓国規制関連情報

韓国 MFDS が MDSAP の Affiliate Members になりましたので紹介します。

解説:
少し遡りますが、2019年 10月 23日に、韓国食品医薬品安全省(MFDS)は MDSAP の Affiliate Members(協力会員)となったことを発表しました。そして、FDA が運営する MDSAP の WEB ページに、アルゼンチン国家医薬品食品医療技術監督機構(ANMAT)と共に韓国 MFDS が Affiliate Members として公示されました。

Affiliate Members とは、MDSAP への完全参加ではなく、公認立合参加もしないが、医療機器製造業者の QMS 評価のために MDSAP 監査報告書を利用したいとする規制当局の立ち位置です。これは、MDSAP へ完全参加するための準備段階で、韓国国内の医療機器製造業者の製品輸出の活性化に寄与すると、韓国 MFDS は述べています。

参考:
MFDS発行のMDSAPのAffiliate Membersに関する公示文書(韓国語) [ PDF 167 kB ]

MDSAPへのリンクはこちら
https://www.fda.gov/medical-devices/cdrh-international-programs/medical-device-single-audit-program-mdsap

※ なおこの動向について、2020年6月16日予定されているセミナー MDSAPの最新動向とコンパニオンドキュメントをめぐる監査対応 において、講師が口頭で説明する予定です。


欧州規制関連情報

MDR 適用期日の一年延期について(3:欧州議会投票結果)

欧州議会の投票が実施され、MDR 適用日の一年延期案を採択しました。

解説:
2020年 4月 17日に欧州議会は、MDR 適用日の一年延期を含む MDR 改正案を採択しました。これにより、MDR 適用日は 2021年 5月 26日まで一年間延長され、当局と医療機器製造業者が新型コロナウィルス(Covid-19)に対する戦いに重点を置くことができるとしています。なお今後、EU 加盟国による承認、及び官報への掲載が必要とされています。更に、4月 7日に出された文書では European Economic and Social Committee 及び Committee of the Regions に対するコンサルテーションの手続きも必要とされており、それらすべてが 5月 26日までに終了していなければなりません。ただし、欧州議会の採択により、MDR 適用日の延期の方向性が事実上固まったと考えられます。

欧州議会からの記事へのリンクはこちら
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20200415IPR77113/parliament-decides-to-postpone-new-requirements-for-medical-devices


欧州規制関連情報

MDR 適用日の一年延期提案について(2:欧州委員会提案修正)

欧州委員会が、2020年 4月 3日に採択した MDR 適用日の一年延期の提案のニュースを掲載しましたが、その後、提案書の内容について問題があり、一部修正がなされたこと、及び今後の進め方の見通しを示した文書が 2020年 4月 7日に出されたという情報もあわせて提供すべきというご意見をいただきました(ありがとうございました)。以下にその文書をご紹介します。

文書のタイトルは以下となります。

Brussels, 7 April 2020, Proposal for a Regulation of the European Parliament and of the Council amending Regulation (EU) 2017/745 on medical devices as regards the dates of application of certain of its provisions - Mandate for negotiations with the European Parliament [ PDF 364 kB ]

解説:
本文書の要旨は以下です。

  • 2020年 4月 3日に、EU 委員会が MDR の適用日を延長する提案を提出した。提案内容は、MDR の適用日を 2020年 5月 26日から、2021年 5月 26日に一年間延期すること、MDD 廃止日も同様に一年間延期すること、及び緊急に必要となる機器のための特別ルールを作ること。これらは COVID-19 の感染問題に関して必要となる。
  • EU 議長国が、提案書を審議していくつかの修正の必要性を発見した。提案書の修正点が Annex I に示されている。修正が必要な理由はこの文書の Annex II に示されている。
  • EU 議会代表者の委員会は 2020年 4月 8日に召集される。その後、EU 議会全体会議が 2020年 4月 16日に、本件についての投票を行う。ただしその後、更に European Economic and Social Committee 及び Committee of the Regions に対するコンサルテーションの手続きが必須となる。

欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(4)>

既報の通り、欧州 MDR の適用日が延長される可能性が高まってきましたが、情報は引き続きご提供したいと思います。

今回は欧州のサイバーセキュリティ・ガイダンス文書の解説を掲載します。本ガイダンス文書発行の目的は Cybersecurity について達成すべき技術仕様を示すことではありません。 Cybersecurity について、MDR/IVDR の要求事項をどのように解釈して取り組むべきかを示す指針となります。以下に本文書の見どころを記載します。

MDCG 2019-16 Guidance on Cybersecurity for medical devices December 2019

1. Introduction

  • MDR/IVDR 附属書 I の各項目と Cybersecurity の関係性の解説(1.3)
  • MDR/IVDR 附属書 I 以外の Cybersecurity に関わる要求事項の解説(例:市販後要求事項)(1.4)

2. Basic Cybersecurity Concept

  • 基本的な考え方と用語の定義

3. Secure Design and Manufacture

  • 仕様 → 設計 → 実施 → 検証・バリデーション → 問題の解決 → アップデート管理方法確立 → ユーザ向け文書作成 についてのマネジメントを実施(3.1)
  • Security Risk Managementの実施。またその中で、Security Benefit Risk Analysis を実施(3.2)
  • Minimum IT Requirements の文書化(3.6)

解説:
ISO 14971 は Cybersecurity に関する「リスク」の低減(「リスク」は危害の発生確率と重大性の組合せ)を求めていると解釈されますが、MDR/IVDR は、例えば(リスクの有無に関わらず)オーソライズされていないアクセスの防止自体を明示的に求めているように、データの保護自体を要求しているように思われます。

MDR/IVDR は Manufacturer に Minimum IT Requirements の明確化を要求しています。Minimum IT Requirements とは、医療機器とともに使用が意図される IT(環境)に対する最低限の要求事項となります。本文書では、3.6 項で、IT Requirements として最低限押さえるべき事項を詳細かつ具体的に記載しています。検討が必要となります。

4. Documentation and Instruction for use

  • 技術文書を構築(4.1)
  • 取扱説明書を作成(4.2)

解説:
MDR/IVDR の文書化の要求事項として、技術文書と取扱説明書があります。MDR/IVDR の解釈上、取扱説明書に記載しなければならなとされる項目が 4.2 項に、詳細かつ具体的に記載されています。検討が必要となります。

5. Post-Market Surveillance and Vigilance

解説:
Cybersecurity において PMS は重要となります。またSecurity に関する市販後情報は収集するだけでなく、シェアすることも求められます。PMS の計画を作り、活動を実施して報告書又は PSUR を作成する必要があります。またその結果を、必要な是正処置の実施、リスクマネジメントの更新、技術文書の更新などに活かす必要があります。Vigilance 報告の要求事項の解釈は、基本的に一般的な安全性上の問題と同じですが、Annex II に事例が掲載されているので参考になります。

6. Other Legislation and Guidance

Annex I:NIS 指令とのマッピング
Annex II:Incident、Serious Incident の例
Annex III:参照すべき規格一覧
Annex IV:Cybersecurity Risk Management のプロセスとSafety Risk Management の関連性

参考
MDCG 2019-16 - Guidande on Cybersecurity for medical devices [ PDF 1807 kB ]


欧州規制関連情報

MDD、AIMDD、IVDD の欧州整合規格の改正について。

MDD、AIMDD、IVDD の欧州整合規格リストが改正されましたので、紹介します。

解説:
2020年 3月 25日に 欧州連合官報が発行され、MDD、AIMDD、IVDDの欧州整合規格リストが改正されました。これに伴い、2017年 11月 17日の MDD 及び IVDD の整合規格リスト(2017/C 389/03 及び 04)は廃止されます。旧リストに掲載されていた規格(Annex II に掲載)からの移行期限は 2021年 9月 30日までとされています。

例えば MDD では、最新の科学技術進歩の包含、及び新型コロナウィルス(Covid-19)と戦うための医療用保護具等に関する安全性確保のために整合規格が新たに追加したとされています。なおこれらの規格は MDD、AIMDD、IVDD の整合規格であり、MDR、IVDR の要求事項への適合を示すことが保証されているものではありません(当面、適切性を判断した上で準用することとされています)。

なお、ユーザビリティ関連の整合規格としては EN 62366:2008 が引き続き掲載されており、EN 62366-1:2015 への置き換えは見送られました。以下に、今回の改正のポイントを記載します(AIMDD の解説は割愛します)。
 

MDD 整合規格の改正ポイント:

  • 整合規格 EN ISO 10993-11:2018、EN 14683:2019+AC:2019、EN ISO 15747:2019 が、EN ISO 10993-11:2009、EN 14683:2005、EN ISO 15747:2011 をそれぞれ置き換える形で掲載されました。
  • 整合規格 EN ISO 13408-2:2018、EN ISO 13485:2016/AC:2018 が、EN ISO 13408-2:2011、EN ISO 13485:2016/AC:2016 をそれぞれ置き換える形で掲載されました。なお、EN ISO 13485:2016/AC:2018 は EN 規格版だけに附属している Annex ZA/ZB/ZC の中の誤記修正をしたものであり、AC:2018 による規格要求事項への影響は特にありません。
  • 整合規格 EN ISO 11990:2018、EN 13976-2:2018、EN ISO 15883-4:2018、EN ISO 17664:2017、EN ISO 21987:2017 が、EN ISO 11990-1:2004、EN ISO 11990-2:2004、EN 13976-2:2011、EN ISO 15883-4:2009、EN ISO 17664:2004、EN ISO 21987:2009 をそれぞれ置き換える形で掲載されました。
  • 整合規格 EN 11608-7:2017、EN 13795-1:2019、EN 13795-2:2019、EN ISO 81060-2:2019 が新規に掲載されました。
  • 整合規格 EN ISO 25424:2019 が新規に掲載されました。
     

IVDD 整合規格の改正ポイント

  • 整合規格 EN ISO 11137-1:2015/A2:2019、EN ISO 13408-2:2018、EN ISO 13485:2016/AC:2018 が、EN ISO 11137-1:2015、EN ISO 13408-2:2011、EN ISO 13485:2016/AC:2016 をそれぞれ置き換える形で掲載されました。
  • 整合規格 EN ISO 25424:2019 が新規に掲載されました。

参考:改正及び新規追加された規格の表題は以下となります。関係する規格の有無をご検討ください。

EN ISO 10993-11:2018
Biological evaluation of medical devices - Part 11: Tests for systemic toxicity

EN 14683:2019+AC:2019
Medical face masks - Requirements and test methods

EN ISO 15747:2019
Plastic containers for intravenous injections

EN ISO 11137-1:2015/A2:2019
Sterilization of health care products - Radiation - Part 1: Requirements for development、validation and routine control of a sterilization process for medical devices

EN ISO 13408-2:2018
Aseptic processing of health care products - Part 2: Filtration

EN ISO 13485:2016/AC:2018
Medical devices — Quality management systems - Requirements for regulatory purposes

EN ISO 11990:2018
Lasers and laser-related equipment - Determination of laser resistance of tracheal tube shaft and tracheal cuffs (ISO 11990:2018)

EN 13976-2:2018
Rescue systems - Transportation of incubators - Part 2: System requirements

EN ISO 15883-4:2018
Washer-disinfectors - Part 4: Requirements and tests for washer-disinfectors employing chemical disinfection for thermolabile endoscopes (ISO 15883-4:2018)

EN ISO 17664:2017
Processing of health care products - Information to be provided by the medical device manufacturer for the processing of medical devices (ISO 17664:2017)

EN ISO 21987:2017
Ophthalmic optics - Mounted spectacle lenses (ISO 21987:2017)

EN ISO 11608-7:2017
Needle-based injection systems for medical use - Requirements and test methods - Part 7: Accessibility for persons with visual impairment (ISO 11608-7:2016)

EN 13795-1:2019
Surgical clothing and drapes - Requirements and test methods - Part 1: Surgical drapes and gowns

EN 13795-2:2019
Surgical clothing and drapes - Requirements and test methods - Part 2: Clean air suits

EN ISO 81060-2:2019
Non-invasive sphygmomanometers - Part 2: Clinical investigation of intermittent automated measurement type (ISO 81060-2:2018)

EN ISO 25424:2019
Sterilization of health care products - Low temperature steam and formaldehyde - Requirements for development, validation and routine control of a sterilization process for medical devices (ISO 25424:2018)

以下から整合規格のリストをダウンロードしていただけます

MDD欧州整合規格リスト(2020-03-25) [ PDF 607 kB ]
IVDD欧州整合規格リスト(2020-03-25) [ PDF 634 kB ]


欧州規制関連情報

MDR 適用日の一年延期提案について(1:欧州委員会提案)

欧州委員会が、MDR 適用日の一年延期の提案を採択しましたので紹介します。

解説:
2020年 4月 3日に欧州委員会は、新型コロナウィルス(Covid-19)に対する戦いを最優先させるために、MDR 適用日の一年延期の提案を採択したと発表しました。この延期案による主な変更は、MDR の適用日を 2020年 5月 26日から 2021年 5月 26日へ変更することですが、MDRの第1条、第17条から第120条へ至る多くの関連条項に影響が及ぶと思われます。留意すべき点は、この延期案は、欧州の法規制上、この後に欧州議会、欧州理事会からの全面的な支持が必要とされており、まだ承認されていないということです。

欧州委員会からの記事へのリンクはこちら:
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_589

 

2020年3月の情報

各国規制関連情報

新型コロナウィルス(COVID-19)に関する規制当局からの発表について

新型コロナウィルスによる影響に関して、各規制当局から査察・監査の実施に関する声明文がそれぞれ発行されましたので紹介します。

解説:
2020年 3月 16日に欧州委員会は、マスク、手袋といった個人用防護具と、外科手術用マスク、診断検査用手袋といった特定の医療機器は、CE マーキングを表示しなくとも、欧州域内において利用可能とするという声明文を発表しました。

2020年 3月 10日に米国 FDA は、医療機器製造施設を含む米国国外での査察を少なくとも 2020年 4月まで延期すると発表しました。

2020年 3月 13日にオーストラリアTGAは、オーストラリア国外への査察の実施を一時停止し、申請手続きに影響が及ぶスポンサーと製造業者へは通知するという声明を出しました。

詳細は以下にリンクされたサイトでご覧いただけます。

欧州委員会からの勧告書(Recommendation)
米国FDAからの通知
オーストラリアTGAからの通知


欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(3)>

欧州 MDR の適用日(2020年5月26日)が近づいてきました。適用日からは MDR の EU 認証書を取得していなくても、要求事項により MDR に基づいた監査が開始されます。そこで「MDR 適用 直前特集」と題して MDR 対策についてのヒントとなる記事を随時掲載していきます。

ポイント:適用日を控えて、MDCG ガイダンスが次々と出されています。

2020年 3月に以下の新規、あるいは改訂された MDCG(the medical device coordination group )の文書が出されています。

  • MDCG 2018-01 v3 Guidance on basic UDI0DI and changes to UDI-DI (Mach 2020)
  • MDCG 2020-3 Guidance on significant changes regarding the transitional provision under Article 120 of the MDR with regard to devices covered by certificates according to MDD or AIMDD (Mach 2020)
  • MDCG 2020-1 Guidance on Clinical Evaluation (MDR) / Performance Evaluation (IVDR) of Medical Device Software (Mach 2020)
  • MDCG 2019-8 v2 Guidance document implant card on the application of Article 18 Regulation (EU) 2017/745 on medical devices (Mach 2020)

下の URL で入手できます。
定期的に、こちらのサイトで最新状況を確認していただくと良いと思われます。

https://ec.europa.eu/growth/sectors/medical-devices/new-regulations/guidance_en


欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(2)>

欧州 MDR の適用日(2020年5月26日)が近づいてきました。適用日からは MDR の EU 認証書を取得していなくても、要求事項により MDR に基づいた監査が開始されます。そこで「MDR 適用 直前特集」と題して MDR 対策についてのヒントとなる記事を随時掲載していきます。

ポイント:PSUR(Periodic Safety Update Report)のタイムラインを解説する動画の紹介。

PSURは、MDD 認証の医療機器及び MDR 認証の医療機器の両方で必要とされています。PSUR は市販後の要求事項であるため、MDD 認証に基づいて CE マーキングを表示した医療機器であっても、2020年5月26日以降は適用対象になります。

規制上、PSUR が要求されるタイムラインについて、TUV SUD 内でも最高レベルの専門家として知られており、現地でも種々の議論に参加している Dr. Bassil Akra が解説している動画がありますのでご紹介します。

Dr. Bassil Akra による解説動画へのリンクはこちら


欧州規制関連情報

< 欧州 MDR 適用 直前特集(1)>

欧州 MDR の適用日(2020年5月26日)が近づいてきました。適用日からは MDR の EU 認証書を取得していなくても、要求事項により MDR に基づいた監査が開始されます。そこで「MDR 適用 直前特集」と題して MDR 対策についてのヒントとなる記事を随時掲載していきます。

ポイント:欧州 MDR(Medical Device Regulation)の最新版はお持ちでしょうか?

旧版の(修正を反映しない)規制文書を基にした対応では問題になる可能性があります。MDR はオリジナル版(2017年)発行後、二回の修正が行われているためです。

オリジナル版の MDR を基に、二回発行された修正表を参照しながら読み替えるという方法でも最新版の内容を確認できることにはなります。ただし、EUR-Lex というサイト(以下の URL)では修正表を反映させた欧州 MDR 最新版が利用可能となっていますのででご紹介します。

参考:EUR-Lex(MDR 最新内容を確認できるページ)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:02017R0745-20170505


米国規制関連情報

臨床性能評価:放射線画像及び放射線機器データに用いられるコンピューター支援検出機器の市販前認可(510(k))手続きにおける配慮に関する改訂版ガイドラインの発行について

2020年1月22日に米国FDAより、臨床性能評価:放射線画像及び放射線機器データに用いられるコンピューター支援検出機器の市販前認可(510(k))手続きにおける配慮に関する改訂版ガイドラインが発行されましたので紹介します。

解説:
医師や医療専門家が患者の放射線画像及び放射線機器データを解釈する際に異常部位を明らかにするようなコンピューター支援検出機器について、その臨床性能評価の指針を示したものです。エンドポイントや無作為割付などの臨床研究設計、調査対象母集団、参照基準、報告といった手続きについて解説しています。このガイドラインの2章の適用範囲には、radiological data(放射線データ)とは、例えば、超音波、X線、MRI、CT、PETなどから画像も含むと明記されています。

また、このガイドラインの発行に併せて、FDAはソフトウェアベースの放射線機器のClass IIへのクラス分類、及び医療用画像分析装置のClass IIIからClass IIへのクラス分類変更を実施しました。

参考:ガイドラインのダウンロード
Considerations for Computer-Assisted Detection Devices Applied to Radiology Images and Radiology Device Data in - Premarket Notification (510(k)) Submissions [ PDF ]

 

 2020年2月の情報

米国規制関連情報

金属及び合金を用いた埋込み医療機器の生物学的反応に関するガイドラインの発行について

少し遡りますが、2019年9月に米国 FDA より、金属を用いた埋込み医療機器の生物学的反応に関するガイドラインが発行されましたので紹介します。

解説:
このガイドラインは、埋込み医療機器で用いれる金属及び合金に関して、現時点で利用可能な科学的情報を米国 FDA、CDRH(医療機器・放射線保健センター)がレビューしたものです。

特に、金属材料が生理環境によってどのように影響されるのか、金属に対する免疫システム反応とそれに続く臨床症状に焦点を当てて解説しています。例えば、近年、使用される機会が増えてきたステントは、医療用 316L ステンレス、タンタル、コバルト合金といった金属でできており、このガイドラインでも取り扱われています。

参考:ガイドラインのダウンロード
Biological Responses to Metal Implants, September 2019 [ PDF 3011 kB ]


欧州規制関連情報

MDR 第120条 移行措置規定の再確認

MDD の EC認証書に基づいて CEマーキングを表示した医療機器は、MDR 適用日(2020年 5月 26日)以降も引き続き EU 市場に Place on the market(最初の流通 = EU への 輸入に近い概念)を続けることができます。ただし、以下の点にご注意ください。

  • 有効性のある MDD の EC認証書が必須となります(MDD の EC認証書の有効期間は最長でも 2024年 5月 26日まで)。
  • MDR 第120条では、その場合でも、MDR 適用日以降は、市販後監視(PSUR = 定期安全更新報告 を含む)、ビジランス、登録に関わる要求事項は MDR が適用されるとされています。
  • ただし、MDR 第123条により、EUDAMED データベースに関わる要求事項(登録など)は EUDAMED 稼働開始 6ケ月後(2022年頃)まで適用が延期されます。

これにともない、2020年 5月 26日以降は、MDD の EC 認証書維持のためのノーティファイドボディによる定期監査において、MDR に基づいた、市販後監視、ビジランス要求事項の順守の確認がなされます。また、その際に、内部監査においてそれらの MDR 要求事項の確認を実施した記録の提示が求められる可能性があります。

  • テュフズードインフォサービス提供の ISO 13485:2016 内部監査員トレーニングコースでも、欧州医療機器規制の解説を全面改訂し、MDR の講義、特に市販後監視、ビジランスに関わる要求事項の内容を増やしています。

欧州規制関連情報

MDR 及び IVDR の下での医療機器用語体系に関する文書発行について

2020年 1月10日に、医療機器製造業者が製品情報を EUDAMED データベースへ入力する際に使用する用語体系に関する文書が欧州委員会より発行されましたのでご紹介します。

解説:
EUDAMED データベースが稼働した時点で、製造業者が機器の登録などの際に使用する EMDN(欧州医療機器用語体系)に関する説明と、EMDN のベースとなる文書である「CND」についての背景情報を記したガイダンス文書です。CND をベースにした EMDN の用語体系について、欧州委員会は「GMDN コードに、可能な限りマッピングされている」と述べています。

今後、EUDAMED データベースを使用する上で、ENDN 用語体系とは何か?を理解しておく必要があります。

参考:ガイダンス文書のダウンロード
The European Medical Device Nomenclature (EMDN) [ PDF 340 kB ]
The CND Nomenclature [ PDF 1017 kB ]

 

2020年1月の情報

欧州規制関連情報

MDR 及び IVDR の下でのサイバーセキュリティに関するガイダンス文書発行について

2020年 1月 7日に、欧州議会の Medical Device Coordination Group (MDCG) から、サイバーセキュリティに関わるガイダンス文書が発行されましたのでご紹介します。

解説:
このガイダンス文書は、医療機器・体外診断用医薬品メーカーが MDR 及び IVDR の附属書 I で規定されている安全性と性能の要求事項の中で、サイバーセキュリティに関わる要求事項への適合性を示す際に役立つ文書です。

潜在的なサイバー脆弱性の予見と評価は、その医療機器の使用環境を十分に考慮すべきであると記載されています。例えば、弱いアクセス制御はデバイス動作の悪意のある修正を許容する可能性がある一方で、制限の多いセキュリティ対策は緊急時における医療従事者による処置を阻害し、患者安全性への影響を大きくする可能性があると記しています。

参考
MDCG 2019-16 - Guidande on Cybersecurity for medical devices [ PDF 1807 kB ]


MDR 及び IVDR の下でのソフトウェアのクラス分類に関するガイダンス文書発行について

2019年 10月に、欧州議会のMedical Device Coordination Group (MDCG) からMDR及びIVDRの下での医療機器ソフトウェアのクラス分類に関するガイダンス文書が発行されましたのでご紹介します。
 
解説:
このガイダンス文書は、医療機器・体外診断用医薬品メーカーが MDR 及び IVDR の附属書 VIII で規定されているクラス分類のルールに基づいて、ソフトウェアのクラス分類を実施する際に役立つ文書です。

ソフトウェアは、クラウド、携帯機器などを含め、その動作する場所に関わらず医療機器ソフトウェアとみなされる可能性があると明記されています。MDR で、医療機器ソフトウェアのための新しいクラス分類ルール(Rule 11)が設けられた結果、MDD の下では EC 認証書を必要としない Class I の医療機器とみなされたソフトウェアでも、MDR の下では Class IIa 若しくはそれ以上にクラスアップすることにより、EU 認証書が必要となる可能性があります。このガイダンス文書にはクラス分類の事例が記載されています。IVDR の下での医療機器ソフトウェアのクラス分類例も記載されています。

参考 URL
Guidance on Qualification and Classification of Software in Regulation (EU) 2017/745 – MDR and Regulation (EU) 2017/746 – IVDR [ PDF 274 kB ]


米国規制関連情報

国際規格 ISO 14971:2019 の FDA 認知規格(consensus standards)登録について

2019年 12月 23日付けで、医療機器のリスクマネジメントの国際規格 ISO 14971:2019(第3版)が FDA 認知規格(consensus standards)として登録されましたのでご紹介します。

解説:
 ISO 14971:2019 (第3版)登録により、市販前承認・510 (k) 申請において FDA 認知規格(consensus standards)への適合を適合宣言によって示す場合、ISO 14971:2007(第2版)の使用は 2022年 12月 25日 までしか認められなくなりました。その後は、ISO 14971:2019 のみを受理すると明記されています。

お詫びと訂正
本情報掲載時、上記赤文字部分の切替え期限を「2020年 12月 25日」と誤って表記しておりました。誤解を招く情報のご提供となり、大変申し訳ありません。正しい情報は「2022年 12月 25日」となります。訂正させていただきます。

参考 URL
https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfStandards/detail.cfm?standard__identification_no=40369

※ 医療機器のリスクマネジメントについて、テュフズードインフォサービスでは以下の二種類のセミナーをご提供します。

ISO 14971:2019 改正対策勉強会:改正ポイントとその対策にフォーカスしたセミナー
ISO 14971:2019 医療機器のリスクマネジメントセミナー:リスクマネジメント全体を基礎から解説するセミナー


欧州規制関連情報

欧州 MDR(Medical Device Regulation)修正表(第2回)について

2019年 12月の本欄で、MDR の第2回修正表が 2019年 11月 25日に入手可能となったこと、及び欧州議会による承認待ちであることをお伝えしました(2019年 12月の情報欄 をご覧ください)が、2019年 12月に議会承認が得られたとのことです。

今回の修正の影響として、以下全てに該当する機器は、最長 2024年 5月 26日まで Place on the market が可能となる点が挙げられています。

・MDD における Class I 医療機器。
・2020年 5月 26日より前に適合宣言がされている。
・MDR ではノーティファイドボディが関与した適合性評価手順が要求される。

まず、明らかにこの対象となる医療機器として Class I 再使用可能な外科用器具がありますが、それ以外にも対象となる医療機器があります。この点について、TUV SUD 内でも最高レベルの専門家として知られており、現地でも種々の議論に参加している Dr. Bassil Akra が解説している動画がありますのでご紹介します。下記にリンクがありますので是非、ご視聴ください。

Dr. Bassil Akra による解説動画へのリンクはこちら


欧州規制関連情報

欧州版 UDI に関するガイダンス文書発行について

解説:
これらガイダンス文書は UDI 発行機関である GS1、HIBCC、ICCBBA、IFA によって用意されたものと思われますが、公式な形で欧州委員会のサイトで提供されています。GS1 のガイダンスでは、例えば、Basic UDI-DI は GS1 事業者コードとモデルリファレンスで構成され、後者は製造業者によって割り当てられるという主旨の記述があります。

参考 URL
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38582
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38563?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38565?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38566?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38564?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38567?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38569?locale=en
https://ec.europa.eu/docsroom/documents/38581 



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