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EU AI法(EU AI Act)とは? 

概要やスケジュール、企業に求められる対応を解説

概要やスケジュール、企業に求められる対応を解説

〈目次〉

>EU AI法(EU AI Act)とは
>AI規制に関する世界の動向
>EU AI法の実施スケジュール
>EU AI法のリスクカテゴリおよび必要な規制対応
>EU AI法が日本企業に与える影響
>EU AI法の規制の対象者
>自社製品がEU AI法に適合していない場合の罰則
>テュフズードのEU AI法関連サービス
>よくある質問

 

EU AI法(EU AI Act)とは

EU AI法(EU AI Act)とは、2024年5月に成立し、8月に施行された欧州連合における人工知能システムを規制するために設計された法的枠組みで、基本的権利、安全性、倫理原則を高い水準で保護しながら、同時に信頼できるAI開発を促進し、イノベーションを支援することを目的としています。特に、AIのリスクレベルに応じた規制を導入し、高リスクとされる分野には厳格な基準を設けています。企業の所在地に関係なく、欧州で使用されるAIシステムに適用されるため、規制の概要は幅広く理解される必要があります。

 

AI規制に関する世界の動向

AI技術の急速な発展に伴い、そのリスクを管理し、イノベーションと安全性のバランスを取るための法規制の整備が世界的に進んでいます。その中でEU AI 法は、世界初の包括的なAI規制として、またAIがもたらし得るリスクの度合いに応じて規制の厳しさを変える「リスク・ベース・アプローチ」を採用したAI規制として国際的な注目を集めています。EUが包括的なAI規制を先行して進める一方、米国では州法や分野別規制を中心としたAIガバナンスの整備が進められています。日本でも、G7広島AIプロセスを踏まえた国際協調のもと、「AI事業者ガイドライン」の策定や制度整備の検討が進められており、各国でAIの安全性とイノベーションの両立を目指す取り組みが活発化しています。

このように、各国の規制動向は、AIの安全性と競争力の両立を目指しつつ、技術の進化に応じて拡大・変化しています。

 

EU AI法の実施スケジュール

EU AI法は段階的に施行されます。具体的なスケジュールをご紹介します。

 適用開始日 区分 適用内容
 2025年2月2日  許容できないリスク  使用が禁止されるAIに対する規制開始
 2025年8月2日  汎用AI(GPAI)  汎用AIモデルに対する規制開始
※ただし、同日までに市場に投入されたAIシステムは2027年8月まで適用が猶予される
 2026年8月2日  透明性義務  AI生成・AI加工コンテンツに対するラベリング等の透明性義務の適用開始
※同日までに市場投入済みの場合には、ウォーターマーキングについて4か月の経過措置期間が設けられる
 2027年12月2日  高リスク  高リスクに該当するAIシステムへの規制開始
 2028年8月2日  高リスク  特定のEU規制下での第三者適合性評価が要求されるもので、安全コンポーネントとして使用される高リスクシステムへの規制開始

 

EU AI法のリスクカテゴリ

EU AI法では、潜在的なリスクに基づいてAIシステムを以下の4つのリスクレベルに分類しており、それぞれのカテゴリごとに個別の要件を定めています。

 

AI リスクカテゴリ

AI リスクカテゴリ

 

EU AI法で規定される要件のほとんどは、上記の「高リスク」に分類されたAIシステムに対して適用されます。また、許容できないリスクに分類されたAIシステムは市場への投入や使用が禁止されます。

EU AI法では、AIシステムの用途や影響度に応じて、適用される要求事項が異なるため、AIシステムがどのリスク分類に該当するかの把握が重要です。以下のチャートでは、リスク区分を確認するための基本的な考え方を示しています。

※本ロジックは目安を把握するために簡素化されたものであり、すべての例外事例には対応していません。ご利用の際はその点をご留意ください。

 

リスク分類:禁止対象外のシステムに対する簡易判断チャート

※ブラウザのズーム機能を利用して、図を拡大してご覧いただけます。

リスク分類

 

テュフズードのサービス(リスク分類毎) 

 

リスク分類に迷われる場合は、クラス診断またはプライベートセミナーをご利用ください。 

お問い合わせはこちら

 

EU AI法が日本企業に与える影響

EU AI法は、EU域内に所在し、AIシステムやサービスを提供する企業だけでなく、EU域外に所在する企業により開発されたAIの出力結果がEU域内で使用される場合にも適用される「域外適用」の規定を持っています。

したがって、日本企業もその規制の対象となる可能性を常に有していて、特に高リスクとされるAIシステムを提供または利用している場合は、厳格なシステム要件へ適合するコンプライアンス対応が求められます。違反した場合の罰則は、非常に高額に設定されており、企業経営に甚大な影響を及ぼしかねません。

このため、EU市場でビジネスを展開する日本企業は、自社のAI開発・利用状況を速やかに把握し、規制内容を理解した上で、AIガバナンス体制の構築やリスク管理プロセスの見直しといった対応を喫緊に進める必要があります。

 

EU AI法の規制の対象者

EU AI法の規制の対象は、AIシステムのライフサイクルにおける複数の事業者や関係者に及びます。主な規制対象者は以下の通りです。

  • プロバイダー(Provider)
    AIシステムを開発し、市場に投入する自然人または法人、公的機関など。EU域外に所在する日本企業も、EU市場にAIシステムを販売・提供またはEU域内でAIの出力結果が利用される場合、対象となります。
  • デプロイヤー(Deployer)
    高リスクAIシステムを権限に基づいて利用する自然人または法人、公的機関など(例:企業の人事部門、重要インフラ事業者など)。※エンドユーザーを意味していません。
  • 輸入業者(Importer)
    EU域外からAIシステムを輸入し、EU域内の市場に流通させるEU域内の自然人または法人。
  • 販売業者(Distributor)
    自然人または法人であって、AIシステムをEU市場で提供する者。
  • 正規代理人(Authorised Representative)
    EU域外のプロバイダーに代わって、EU域内でEU AI法に基づいた業務を実施する者。

 

自社製品がEU AI法に適合していない場合の罰則

EU AI法の違反に対する罰則は厳しく、違反内容に応じて罰則が定めれられています。

違反内容 罰則
許容できないリスクの(使用禁止)AIに対する違反 最大3,500万ユーロ (約64億8,000万円)
または全世界の年間売上高の7%(いずれか高い方)
その他の規定に対する違反 最大1,500万ユーロ(約27億7,000万円)
または全世界の年間売上高の3%(いずれか高い方)
当局への不正確、不完全、
または誤解を招く情報の提供
最大750万ユーロ(約13億8,500万円)
または全世界の年間売上高の1%(いずれか高い方)
1EUR=180JPYの場合

※上記以外にも、汎用AIモデルのプロバイダーによる義務違反などが制裁金の対象となります。違反内容、事業者の役割、企業規模などにより、適用される制裁金の上限などの罰則が異なります。

 

テュフズードのEU AI法関連サービス

テュフズードでは、EU AI法を理解するためのトレーニングやギャップ評価を提供しています。

  • クラス診断
  • スコープ診断
    クラス診断の結果に基づき、対象AIシステムにおける事業者としての役割に応じて適用される要求事項・義務を整理し、必要な対応範囲について弊社見解をご提示します。 
  • EU AI法プライベートセミナー

    セミナータイプ

    • ベーシックコース(半日~)
    • アドバンスコース(1日~)

    EU AI法の概要を理解し、企業が取るべき対応の全体像を理解するためのセミナーです。

     

    主な内容

    ベーシック・アドバンス共通

    • EU AI法の概要と適用範囲
    • AIオムニバスによる改正影響範囲
    • リスクベースアプローチ
    • リスクカテゴリの判定方法
    • GPAIに対する規制
    • 適合性評価について
    • 最小限リスク・限定リスクの義務概要

    アドバンス追加項目例

    • 高リスクAIに課される義務概要
    • 透明性義務のガイドライン

    ※ベーシック・アドバンス共に、お客様の関心領域やAIシステムの用途に応じて、解説内容や重点的に扱うテーマを調整します。

     

    主な対象者

    • EU AI法の基本を理解したい方
    • EU市場でのAI活用に向けて、社内の関連部門で対応をご検討中の方
    • 自社でAIシステムを取り扱っている方
    • AI関連製品の企画・計画・開発を担当される方

    アドバンスコースは、高リスクと見込まれるAIシステムを現在、または将来扱う企業や、より詳細な規制要件や対応事項を理解したい方にお勧めしております。

  • ギャップ分析

    現状のシステムやプロセスがEU AI法の要求事項にどの程度適合しているかを評価します。

    成果物:
    テクニカルレポート

  • 適合性評価および Attestation of Conformity (AoC)

    高リスクAIに対する適合性評価を実施

    必要に応じて Attestation of Conformity(適合性評価証明) を発行

  • Low riskマーク
    限定リスクならびに最小限リスクと判定されたAIシステムについては、貴社のAI法対応状況が所定要件を満たす場合に「Low riskマーク」を付与可能です。
  • 各国AI規制調査

    対象製品(AIシステム等)に関連する各国のAI法規制を調査し、規制該当性、要求事項、判断根拠を整理した調査レポートをご提供します。

    ※対象国によっては、調査をお受けできない場合があります。

    ※レポートの記載内容は、調査基準日時点で有効な規制に限ります。

  • Q.EU AI法とは何ですか?
    A. EU AI法は、欧州連合(EU)における人工知能の法的枠組みです。リスクベースのアプローチを採用しており、AIシステムの種類、想定用途、関与する組織の役割に応じて、異なる義務が適用されます。
  • Q. 日本企業もEU AI法の対象になりますか?
    A. はい。EU域外企業であっても、EU域内で利用されるAIシステムやAI出力に関与する場合、適用対象となる可能性があります。
  • Q. 高リスクAIとは何ですか?

    A. 高リスクAIとは、人々の健康、安全、基本的権利に重大な影響を及ぼす可能性のあるAIシステムで、例えば下記などの分野で利用されるAIシステムが該当する可能性があります。

    • 採用選考・人事評価
    • 教育・試験
    • 重要インフラ
    • 法執行
    • 生体認証

    EU AI法では、高リスクAIに対してリスク管理、データガバナンス、技術文書の整備、透明性確保などの要件が定められています。

  • Q.プロバイダー(Provider)とデプロイヤー(Deployer)の違いは何ですか?

    A.プロバイダーは、AIシステムを開発し、市場に提供する事業者です。一方、デプロイヤーは、AIシステムを業務で利用する事業者を指します。

    • AI搭載した検査システムを開発・提供する企業 → プロバイダー
    • そのシステムを社内業務や顧客対応に利用する企業 → デプロイヤー
  • Q. 自社にどの要求事項が適用されるか知りたいです。
    A. AIシステムのリスク区分や事業者としての役割によって異なります。テュフズードジャパンの「スコープ診断」サービスでは、適用される要求事項・義務を整理してご提供可能です。
  • Q. EU AI法はいつから適用されますか?
    A. AI法は2024年8月1日に発効し、段階的に適用されています。禁止されるAI行為およびAIリテラシーに関する義務は2025年2月2日から、汎用AIモデルに関するガバナンス規則および義務は2025年8月2日から適用されています。その他の大半の規定は2026年8月2日から適用されます。その中で高リスクAIシステムに対する義務は2027年12月2日に延期され、規制対象製品に組み込まれる一部の高リスクAIシステムについては、2028年8月2日まで延長された移行期間が適用されます。
  • Q. 自社のAIシステムがどのリスク区分に該当するか分かりません。

    A. EU AI法では、AIシステムの用途や利用方法によって適用される要求事項が異なります。まずは、自社の各AIシステムがどのリスク区分に該当するのかを把握することが重要です。

    テュフズードジャパンでは、AIシステムのリスク分類を評価する「クラス診断」を提供しています。

  • Q. EU AI法における適合性評価とは何ですか?
    A. 適合性評価とは、高リスクAIシステムがEU市場に投入される、または使用開始される前に、適用されるEU AI法の要求事項を満たしていることを示すためのプロセスです。システムの種類によっては、独立した適合性評価機関が関与する場合があります。
  • Q. すべてのAIシステムに適合性評価は必要ですか?
    A. いいえ。EU AI法はリスクベースのアプローチを採用しており、高リスクAIシステムには最も広範なコンプライアンス義務が適用されます。大半のAIシステムは、既存法令を超える追加的なAI法上の技術要求事項なしに開発・利用できます。
  • Q. 組織は必ずノーティファイドボディを利用する必要がありますか?
    A. いいえ。独立した適合性評価機関が必要かどうかは、高リスクAIシステムの種類および適用される適合性評価ルートによって異なります。ノーティファイドボディはEU加盟国によって指定・監督され、必要な場合に市場投入前の適合性評価を実施します。
  • Q. 組織はEU AI法の評価に向けてどのように準備すればよいですか?
    A. 実務上の出発点は、対象となるAIシステムを特定し、組織の役割を把握したうえで、適用される要求事項を確認し、文書、ガバナンス施策、関連エビデンスが整備されているかを確認することです。これにより、正式な義務が適用される前にギャップを特定し、次の対応の優先順位を明確にできます。
  • Q. 適合性評価証明(Attestation of Conformity)とEU適合宣言(EU Declaration of Conformity)の違いは何ですか?
    A. テュフズードの適合性評価証明(Attestation of Conformity)は、定義された評価範囲に基づく任意の評価結果です。EU適合宣言(EU Declaration of Conformity)は、法令に基づき、該当する経済事業者の責任のもとで発行される正式な規制上の宣言です。両者は同一のものとして扱うべきではありません。
  • Q. EU AI法適合性評価によってCEマーキングを取得できますか?
    A. いいえ。任意の適合性評価証明(Attestation of Conformity)は、規制上の適合性評価プロセスに代わるものではなく、それ自体でCEマーキングを可能にするものでもありません。規制上の責任は、適用されるEUの枠組みにおける該当する経済事業者に引き続き帰属します。

 

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