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事例紹介

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男前豆腐店株式会社ロゴ

日本の伝統食品「豆腐」に、世界基準のマネジメント・システムを採用

独自ブランドを支える安心・安全な食品作りのために第三者認証に挑戦

 

社名: 男前豆腐店株式会社

 

事業内容: 豆腐の製造・販売

住所: 京都府南丹市八木町船枝滝ノ方50番地

テュフ ズードによ る提供サービス: SQF認証サービス・管理者トレーニング

 

スーパー・マーケットの豆腐コーナーでひときわ目を引く商品がある。「男の3連チャン」「ケンちゃん」シリーズなど、従来にない斬新な商品名やパッケージ・デザインで、抜群の知名度を誇る男前豆腐店の豆腐である。

遊び心にあふれ個性的な商品から連想されるイメージとは裏腹に、男前豆腐店の豆腐作りの姿勢はいたって真摯で真面目である。それが目に見える形となったのが、食品の安全と品質を確保するための国際的なマネジメント・システム「SQF(Safe Quality Food)」の第三者認証の取得であろう。その取り組みは、同社に対するイメージとのギャップから時に、驚きを持って受け止められることもあるという。しかし男前豆腐店にとってSQFの認証は、真摯で真面目な豆腐作りを再確認するプロセスであり、食品安全と品質管理を世界基準に高める「攻めの第三者認証」でもあった。

SQF認証の取得は、競争の激しい豆腐業界において差別化を図り、大手スーパー・マーケットへの提案力を大きく高めることにつながった。

 

真面目があって遊びが活きる

「95%は真面目にやる。おいしさ・安全性・品質があってこそ、5%の遊び心が活きる」――。これは男前豆腐店の伊藤信吾代表取締役社長が社員に発するメッセージである。消費者に支持される豆腐作りは第一に、豆腐そのもののおいしさや高い品質、そして安全性がなにより重要であるというこだわりだ。その前提があってこそ、消費者はパッケージやデザインなどの遊び心を受け入れてくれるというのだ。社長の豆腐に対する情熱に呼応するかのように、同社スタッフの豆腐作りに対する真剣さは皆ひといちばい強い。

こうした男前豆腐店の社風が、SQF認証の取得に乗り出すのを大きく後押しした。2012年に社長の掛け声によってプロジェクトが始動し、全社員が一丸となって認証取得に向けて動き出した。その認証取得までの道のりは、簡単ではなかったという。当初はその認証取得までの見通しを立てられない状況がしばらく続いた。困難な背景にあるのはまず、第三者認証の取得は初めての試みであったこと。初めてであるため、経験や知識を踏まえて主導的な役割を担える人材がいなかったのである。同社は外部のコンサルタントが提供する教育プログラムを導入するなどして、認証取得に向けた努力は重ねていったものの「SQF認証の全体像を誰も理解できずにいました。当初は、認証取得のゴールがどこにあるかもわからずに走り続けているようでした」と品質保証部 次長 SQFプラクティショナーの瀨渡善道氏は顧みる。

95%は真面目にやる。おいしさ・安全性・品質があってこそ、5%の遊び心が活きる。

その道のりをさらに困難にしたのが、豆腐の製造工程が職人の「勘」や「経験」といった非言語的な力量に頼る要素が多かった点である。SQF認証はその要求事項として、製造における各々の工程において文書管理と記録を求めている。しかし豆腐の製造工程において重要な段階である豆の煮方やにがりの打ち方、豆乳の濃度の出し方などは従来、製造を担う職人それぞれが培ってきた経験や知識に頼った運用がなされていたのである。

こうした経験や知識はそもそも、文書化が難しい状況がある。言語的な表現が難しいことはもちろん、師弟関係といった人間関係があって初めて開示される経験や知識を、誰もがわかるような形で文書として表現することは、ある種の抵抗が働くといっていい。

 

主体的に動かなければ認証取得はできない

SQF認証取得への道筋が見えない状況のまま1年あまり経過した2014年に転機が訪れる。男前豆腐店は、テュフズードが提供する「HACCPガイドラインのトレーニング」と「ギャップ審査」に挑戦したのである。

HACCPガイドラインとは、製造工程において危害を起こす要因(Hazard)を分析し、その危害要因を除去または減少させるための重要管理工程(CCP)を踏まえて安全を確保する手法である。SQFの食品衛生の規定そのものはHACCPガイドラインに基づいており、そのコンセプトの理解は避けて通れない。トレーニングは、一方的に講師の話を聞くセミナー形式ではなく、グループディスカッションを通したワークショップ形式を採用した実践的な内容であった「自分達の製造工程を踏まえた議論をすることで、まさにHACCPの要求項目が具体的に腑に落ちました」と瀨渡氏は振り返る。

ギャップ審査は、SQF認証の取得に必要な水準と現状との差について指摘を受ける手続きである。SQF認証の取得に足りない点を、ありありと理解できたのである。「外部の教育を受けるだけでは認証は取得できず、自分達が主体的に動かなければ認証取得はできないということをはっきり自覚しました」(瀨渡氏)。男前豆腐店にとって最大の課題は「文書化」にあった。製造工程における手順やルールは存在するものの、職人の「勘」や「経験」に頼る要素が多かったゆえに、誰が見てもわかるような形で文書化できていなかったのだ。

 

社長が旗振り役を担い推進力を生む

「SQF認証の取得」という大目標の下、同社はSQFの要求項目ひとつひとつに対して、手順やルールの確認と文書化に突き進んでいった。手順の文書化を進めていくなか、品質の安定化も進んだという。職人の経験で運用されていたところをよく確認していくと、作業のミスが起きやすい箇所や曖昧だった判断基準が明確になり、それを作業従事者のみんなで知識として共有できたからである。例えば釜の熱加工の工程では「炊き時間」が大事になるが、それが守れていなかったなどのポイントがより明確になり、作業に均質性がでてきた。教える人が違っても伝える内容に統一がうまれ、それが品質の統一化につながったという。

豆腐屋が東大に合格するぐらい「SQF」を身体に会社に染み込ませた時、「男前豆腐店」が「本物の男前」になる。

こうしたSQF認証の取得に向けた推進力は、全社プロジェクトとして社長が自ら率先して旗振り役を担うことで加速していった。前述のHACCPガイドラインのトレーニングは品質保証部だけでなく、同社役員を含めて製造部や購買部、装置メンテナンスを担う工務部、商品開発部、営業に至るまで全部門長が全員参加したという。

これらの努力が実り2014年12月、男前豆腐店は豆腐業界で先頭を走るかたちでSQF認証を取得する。

 

審査員とのよき関係が認証取得を後押し

男前豆腐店は、SQF認証の取得を後押しした要素として、テュフズードの審査員の質の高さについて評価する。食品工場といっても、その実態は扱う食品の種類から設備グレード、工程の洗練度合にいたるまで千差万別であり、簡単にひとくくりにはできない。SQF認証をスムーズに進めるためには、こうした食品工場ごとに異なる要素に対して、深い理解と経験をもった審査員が担当することが重要になるという。

第三者認証における審査では、食品の種類や設備の状況、製造工程などに対する審査員の正しい理解があり、食品工場の実態を踏まえた審査・評価があってこそ、認証取得に向けたプロセスの改善や環境の整備を進めていくことができるからだ。「規格や基準を参照して判断するだけの審査では第三者認証のプロジェクトは進まないでしょう。単純に審査の提供だけを期待するのであれば、どこの認証機関であっても同じで、提供価格だけを見比べればいいのかもしれません。しかしテュフズードの審査員は、厳しい審査でありながらも、男前豆腐店の製造工程を踏まえつつ、本音ベースでの理解と対話を進めることができました」(瀨渡氏)。

 

世界基準の食品安全を実践

「世界基準の食品安全に取り組んでいる」という自信を持つことができたと、男前豆腐店はSQF認証を取得した意義を語ります。「SQF認証への挑戦がなければ、自己流の食品安全や公衆衛生に留まっていたかもしれません。SQF認証は、世界基準の食品安全を気付かせてくれた」(瀨渡氏)といいます。ただ公衆衛生の管理だけでなく、商品回収や危機管理、施設の脆弱性評価(フードディフェンス)に至るまで、社員が自ら主体的に考え、実践することにつながったのである。

男前豆腐店はSQF認証を取得した現在でも、研鑽を重ねて「真面目な豆腐作り」に取り組んでいる。伊藤社長は社内コミットメントとして、社員に次のメッセージを発信する。

審査の提供だけを期待するなら、どこの認証機関であっても同じで、提供価格だけを見比べればいい。テュフズードの審査員は、厳しい審査でありながらも、男前豆腐店の製造工程を踏まえつつ、本音ベースでの理解と対話を進めることができた。

『(前略)法令及び顧客との契約を遵守する。SQFを継続的に使用していく。安全と品質の目標を定め、見直しを繰り返す組織で有り続ける。以上、三点をここに宣言します。豆腐屋が東大に合格するぐらい「SQF」を身体に会社に染み込ませた時 「男前豆腐店」が「本物の男前」になります。』

 

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