食品関連の製造業に関わる場合、食品の安全な提供に関するリスクを低減できるほか、業務効率化、法令順守の推進などのさまざまな利点がある FSSC22000 認証取得。今回は、FSSC22000 の概要や認証されることでのメリット、FSSC22000 と SQF・ISO22000・HACCP、JFS-C との違いなどを解説していきます。
FSSC22000とは、「Food Safety System Certification」の頭文字を取った食品安全システム認証の国際規格です。食品の安全性への関心が高まる中、FSSC22000を導入することで会社や組織の信頼性向上に繋げることが可能です。
消費者へ安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムに関する国際規格である ISO22000 をベースにし、より確実な食品安全管理を実践するために作られたマネジメントシステム規格です。ISO22000 の内容に加えて具体的な衛生管理の手法が追加されています。
FSSC22000の認証のメリットとしては、食品の安全な提供に関するリスクの低減、業務効率の改善、組織体制の強化、業務継承の円滑化、継続的な改善による企業価値の向上、法令順守の推進などがあげられます。
FSSC22000は定期的にバージョンアップすることで、その時求められる食品衛生管理に必要なルールづくりを行っています。2023年4月にVer.5.1からVer.6.0に改訂されました。 Ver.6.0への移行期間は2024年4月~2025年3月末となっており、すでに認証を受けている場合でも、新たな要求事項を満たさなければ更新ができません。Ver.6.0では、(サブ)カテゴリーのコード表記の追加・変更や、審査機関、認定機関の要件変更などがあります。また、要求事項も変更されているため、よく確認しておくとよいでしょう。
FSSC22000 の構成は、簡単にいえば「ISO22000+セクター PRP に対する技術仕様書+ FSSC 独自の追加要求事項」となっています。
つまり、ISO22000 の内容に PRP(前提条件プログラム)の技術仕様書である「ISO/TS22002-1 または ISO/TS 22002-4」および「FSSC 独自の追加要求事項」が統合されています。
FSSC22000は、食品安全システムの継続的改善を目的に 2000年5月に設立された非営利団体「GFSI (Global Food Safety Initiative)」 によって認証を受けた規格です。国際的に認知された食品安全規格であることの認証証明であり、ステークホルダーにとってもメリットになります。また二者監査コストの削減に有効である点もメリットです。
FSSC22000 の対象は、腐敗しやすい動物性製品、腐敗しやすい植物製紙製品、腐敗しやすい動物性および植物性の混合製品のほか、常温での長期保存品、食品製造向けの化学製品、包装資材の6分野に関わる製造業者になります。
食品安全にまつわる規格には、FSSC22000 の他に、SQF、ISO22000、HACCP といったものもあります。それぞれ、FSSC22000 とどのように違うのかを解説します。
1. SQF との違い
SQF は、「Safe Quality Food」の略称で、北米・オセアニア地域を中心に普及が進んでいる食品安全システムおよび品質システムの認証プログラムです。
FSSC22000 や ISO22000 と同様に SQF も HACCP の管理手法がベースとなっており、マネジメント管理や具体的な適正製造規範( GMP) に対する要求など HACCP に欠けている部分を補強した内容になっています。また SQF 規格には、GFSI の要求事項に沿った農業・畜産等の第一産業から製造・流通・外食・小売りといったフードチェーン内の上流から下流までの、より幅広い分野に対応した個別の規格コードが用意されています
規格内では、原材料や資材に起因する安全性と品質性、工程管理に起因する安全性と品質性、最終製品の出荷基準、規格の管理体制などの全てが必須の管理要求事項とされています。このように、SQF の特徴の一つは、食品のサプライチェーンにおけるあらゆる段階を対象とした食品安全と品質の管理システムであることです。つまりフードチェーン内のあらゆる組織が取り組む事が可能で、食品安全だけでなく品質についての管理システムも対象とする事ができる認証プログラムとなっています。
国際認証規格であることや GFSI(Global Food Safety Initiative)が承認した食品安全管理標準規格の一つであることは、FSSC22000 と同様です。大きな違いの一つとして、SQF は製品を認証する規格であることである一方、FSSC22000 はマネジメントシステムを認証する規格であるという点にあります。SQF は特定の製品に対して認証することができることから、品質コードの認証を取得すると認証マークを製品に貼付できます。
また、SQF 規格に新規に取り組まれる事業所のために、SQF 規格には 、SQF 基礎-基本(Fundamentals-Basic)、SQF 基礎-中級(Fundamentals-Intermediate)、SQF 食品安全、SQF 食品品質と4つのレベルの規格コードが用意されています。新規取組み事業所は、自組織のレベルに合わせた各規格コードを選択して取り組んでいく事で、段階を踏んでグローバルスタンダードレベルまでの管理を構築する事ができるようになっています。
2. ISO 22000 との違い
先にも述べた通り、FSSC22000 は ISO22000 をベースとしています。食品安全マネジメントシステムである FSMS は、ISO22000 に基づいていましたが、取り組むべき衛生管理規範は、組織ごとにまかされており、組織が自由に決めることができるため、例えば手洗いルールなどの衛生管理のレベルにバラツキがみられました。その点、FSSC22000 では ISO22000 を補強する形で PRP 部分を詳細に示しているため、食品安全への取り組みが実施しやすく、またその取り組みを促進する仕組みになっています。
3. HACCP との違い
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」のそれぞれの頭文字を取ったもので、食品安全のガイドラインです。2021年6月から、食品を取り扱う全事業者に対して、HACCPによる衛生管理が義務化されています。食品の製造・加工の工程において、発生する恐れのあるハザード(危害)を分析し、どの段階で対策すべきかという重要管理点(CCP)を設けることにより、連続的管理を目的とするものです。
FSSC22000 との大きな違いは、国や認証団体によって基準となる項目が異なるという点です。つまり、世界基準としては利用できないということです。これだけでは汎用性に欠けるため、世界基準として ISO22000 および FSSC22000 が生まれました。
また、HACCP が対象とするのは直接食品を扱う業種、つまり食品製造業が主となっていますが、ISO22000 と FSSC22000 は、包装資材などの間接的に食品に関わる事業者も対象になります。
4. JFS-C との違い
JFS-C は、2018年11月に GFSI の承認を受けた日本発の新しい食品安全マネジメント規格となっており、日本国内の食品関連サイトだけでなく、対日輸出に関わる日本国外のサイト等での普及が期待されています。
JFS-C 規格はマネジメントシステム・HACCP 管理・GMP という3つの要素から構成されており、管理すべき点として現場からの改善提言等日本独特の製造管理文化を反映した管理要求事項も実装した内容となっている点がこの規格の一つの特徴となっています。これまで FSSC22000 等他の国際食品安全規格は、規格管理団体が海外に所在する事もあり、日本国内には英語など外国語で発信されたものが日本語に翻訳される形で展開されてきました。それに対し、JFS-C は規格管理団体(JFSM)から直接日本語で発信される形となっている点が、この規格のもう一つの特徴の一つとなっています。
JFS 規格も SQF 同様、新規に食品安全マネジメントシステムに取り組まれる事業所のために、JFS 規格には、JFS-A、JFS-B、JFS-C の3段階のレベルの規格コードが用意されており、新たに認証に取り組む事業所は自組織のレベルに合わせて各規格コードを選択して取り組む事ができる構造となっています。
1.現状把握・ギャップアセスメント
まずは現行システムをチェックし、ISO22000、PRP、FSSC追加要求の3層でギャップの洗い出しを行います。不足や不適合を整理し、優先度と対応期限、対応方法を設定します。
2.教育と社内浸透
FSSC22000の運用には現場との連携が重要になります。従業員向けに規格の説明や必要性を伝え、社内浸透を図ります。
3.マネジメントシステムの構築、内部監査、マネジメントレビュー
FSSC22000の要求事項を満たすマネジメントシステムを構築し運用します。新システムを一定期間運用しながらデータを蓄積します。 その後、内部監査で規格適合と有効性を確認し、是正処置を実施します。内部監査を実施するには内部監査員が必要ですので、内部監査員の資格を事前に取得しておく必要があります。
その後マネジメントレビューでシステムの妥当性や資源投資を再評価します。ここまででFSSC22000の審査に必要なサイクルが完了します。
4.認証取得
予め選定しておいた認証機関に依頼し、審査を実施します。審査には第一次審査と第2次審査があります。
・ 第一次審査(書類審査)
ここでは文書レビューと現場の準備状況確認が中心となります。重大なギャップは是正することで第二次審査に進むことができます。
・第二次審査(現場審査)
製造現場、倉庫、検査室など現地での実際の運用状況を確認します。
5.運用継続と認証維持
認証は3年間有効となります。ただし、取得後も監査(サーベイランス)を2回受ける必要があり、期限がくるタイミングで再認証審査が必要です。
テュフズードを通じて、実際にFSSC22000 を認証取得した企業をご紹介いたします。
株式会社明治様は、安全でおいしいものを、安心して消費者に提供できるように、大阪工場でSQF、坂戸工場でFSSC22000の認証を取得しました。
取得後は取引先からの信頼を獲得でき、販路拡大にもつながるとともに、食品安全体制を整えていることをアピールできるようになりました。
>ケーススタディ「SQF・FSSC 22000認証を活用した株式会社明治 菓子部門の取り組み」
テュフズードは国際的に評価を得ているさまざまなマネジメントシステムに対する認証機関で、FSSC22000認証取得に必要なサポートを実施いたします。当社は世界各国に800以上あるオフィスネットワークを有しており、世界中の組織に対してサービスを提供し、世界規模でFSSC22000の順守を認証することができます。創業から150年以上の歴史を持ち、これまでの認証実績は67万以上です。FSSC22000の認証取得にお困りなら、豊富な経験と実績を持つ当社にご相談ください。
>FSSC 22000 第6版 品質管理プラン Eラーニング
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