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民生品(一般消費財)の規格・規制情報

衣料品、玩具をはじめとする民生品(一般消費財)に関連する規格・規制情報

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2025年5月の情報

  • UK: 家具および備品(火災)(安全)規則に関する法定ガイダンスの公表

    2025年4月30日、OPSS(Office for Product Safety & Standard)は、1988年家具および備品(火災)(安全)規則(FFRs)を更新するための法定文書(SI)1が英国議会に提出されたことを発表しました。この変更は2025年10月30日に施行されます。

     

    1月22日に公表されたOPSSの政策文書2 で発表された通り、英国政府はFFRsを改正するため、即時行動を取りました:

    • 規制の対象から特定の乳幼児向け製品を除外する
    • 新製品に表示ラベルを貼付する義務を撤廃する
    • 法的手続きを開始する期間を6カ月から12カ月に延長する

    規制の対象から除外される製品、または表示ラベルが貼付された製品の在庫があり、2025年10月30日までにそれらの製品をすべて販売していない可能性のある企業は、これらの製品を無期限で販売を継続することが認められます。これは、その表示がコンプライアンスを正確に表している限り許可されます。

    これらの変更の影響について解説をしている企業向けの法定ガイダンス3は、gov.ukより入手可能です。

2025年 4月の情報

  • 日本:5GHz帯ドローン利用を可能にする無線規則の改正

    総務省は2025年4月7日、電波法施行規則(昭和25年11月30日 電波監理委員会規則 第14号)、無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則 第18号)、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和56年11月21日 郵政省令第37号第37号)などの主要な無線規則の改正を発表しました。これらの改正は、5.2GHz帯の高出力無線通信システムの空中用途への使用を拡大することを目的としており、特に5GHz帯無線LAN技術に依存するドローン運用の増加を支援するものです。 

    改正された規制は、移動基地局および移動局が空中環境において5.2GHz帯(5,150~5,250MHz)で運用することを許可しています。このようなシステムは通常、基地局、陸上移動局または移動局間のデータ伝送に使用されます。改正された規則では、これらの空中デバイスは既存の地上ベースの5.2GHz帯低出力システムと同じ技術基準を満たす必要があります。 

     

    主要な技術仕様は以下の通りです:

    キャリア周波数要件: 

    • 20 MHz以下の帯域幅:5,180 MHz, 5,200 MHz, 5,220 MHz, または5,240 MHz  
    • 20–40 MHz 帯域幅:5,190 MHz または5,230 MHz  
    • 40–80 MHz帯域幅:5,210 MHz  

    規制の改正は、これらのシステムを日本の法的枠組みにさらに統合されます:  

     
    1.電波法施行規則:
    • 第16条(登録の対象とする無線局)、第17条(登録局の無線設備の規格)に追加。 
    • 第33条(簡易無免許運用は免許を要しない無線局):5.2GHz高出力システム機器を対象とするように拡張。

    2.第6条(免許を要しない無線局): アンテナ出力が0.2W以下のシステムを含むように拡大。 

    3.認証規則:5.2GHz高出力移動局および基地局は、電波法第38条2の2で定義される小規模無線局に適用される技術基準適合証明政令第2条の「特定無線設備」として分類される。

    この改正は2025年4月7日の公布と同時に発効します。改正前の無線設備規則第49条の20に基づく無線設備の認定は、施行後も有効です。

    電波法改正案「5.2GHz帯無線LANの上空利用の導入について」

  • USA:ニューメキシコ州、PFAS製品に関する新規則を制定

    米国ニューメキシコ州知事は2025年4月8日、意図的に添加されたペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む製品を禁止し、私たちの健康と環境を保護することを目的とした下院法案(HB)2121に署名しました。この法案は、2027年と2028年に消費者向け製品の特定のカテゴリーで意図的に添加されたPFASを禁止し、2032年からすべての製品に対して禁止を拡大するものです。さらに、意図的に添加されたPFASを含む製品の製造業者に対しは、ニューメキシコ州環境局(Department of Environment)への報告が義務付けられます。

    ニューメキシコ州は、意図的に添加されたPFASを含むすべての製品を禁止している、メイン州2、ミネソタ州3に続く3番目の州となります。しかし、これらの州法にはいくつかの違いがあります。例えば、ニューメキシコ州法はフッ素樹脂を除外していますが、他の州法は除外していません。

    以下は、HB 212の主な要件です:

    A) 禁止製品

    実行段階 発効期日 禁止製品
    第1 2027年1 月1 日  調理器具、食品包装、デンタルフロス、幼児用製品、泡消火剤
    第2 2028年1月1日 カーペットおよび敷物、クリーニング製品、化粧品、生地処理剤、女性用衛生用品、織物、インテリアや家具の装飾に使用される布製品、スキーワックス、布張りの家具
    第3 2032年1月1日 意図的に添加されたPFASを含む全ての製品

    B) 報告義務
    意図的に添加されたPFASを含む製品の製造業者は、2027年1月1日までに詳細情報を当局に提出しなければなりません。これらの情報には以下が含まれます:

    • 製品の簡単な説明
    • 製品に使用されているPFASの目的
    • 製品に含まれている各PFAS化学物質の量
    • 製造業者の連絡先
    • 必要に応じて当局が要求する追加情報

    2028年1月1日以降、製造業者は製品のPFAS含有量に関する必要な情報をあらかじめ同局に提供していない場合、意図的に添加されたPFASを含む製品をニューメキシコ州で販売することはできなくなります。製造業者が情報を提供した場合でも、禁止される製品カテゴリーもあることに留意。

    C) 製品試験の義務
    この法案は、意図的に添加されたPFASの製品試験を映像業者に義務付ける権限を当局に与えています。製品にPFASが含まれている疑いがある場合、当局は製造業者に対し、30日以内に試験結果を提出するよう命じることができます。

    • 意図的に添加されたPFASが含まれていないことが試験で判明した場合、製造業者は適合証明書、試験結果および関連情報を当局に提出しなければなりません。
    • 意図的に添加されたPFASが含まれていることが試験で判明した場合、製造業者は必要な情報を当局に提供し、ニューメキシコ州内で製品を販売する業者に対して、その製品が禁止されていることを通知する必要があります。

    D) 適用除外

    • 製品中のPFASの存在について、連邦法が州当局の権限を優先する形で規定している製品
    • 販売または再販される中古製品
    • 医薬品と医療機器、およびこれらの包装
    • 特定の暖房、換気、空調(HVAC)および冷蔵機器
    • 動物の医療に関する製品および包装
    • 公衆衛生または水質検査用に開発または製造された製品
    • 特定の自動車、水上バイク、航空機
    • 半導体
    • 非消費者向け電子機器および非消費者向け実験機器
    • 意図的に添加されたPFASを含む製品で、そのPFASが特定の連邦規則に基づきオゾン層破壊物質の代替物質として使用されている場合
    • 発電、配電、蓄電に使用される製品
    • 上記の製品の製造または開発に直接使用される機器
    • the environmental improvement board(EIB)が、「その製品におけるPFASの使用が現在避けられない使用である」とする規定を採択した製品
    • 特定の骨格を持つ高分子物質からなるフッ素樹脂を含む製品

    [1] New Mexico HB 212

    [2] Maine PFAS legislation summary page

    [3] Minnesota PFAS legislation summary page 

     

2025年3月の情報

  • UK: POPs規則を更新

    イギリスは、現行の規則をストックホルム条約と整合させるため、残留性有機汚染物質(POPs)規則1,2の改正を発表しました。これらの改正は、特定の汚染物質の濃度の限度値を更新し、廃棄物管理リストに新たな物質を追加しまし、特定の用途に対する適用除外を規定することにより、環境保護を強化することを目的としています。この改正は2025年4月1日に施行させます。

    UK POPs規則の附属書1の改正には、ヘキサクロロベンゼン(HCB)とペンタクロロフェノール(PCP)の非意図的微量汚染物質(Unintentional Trace Contaminant: UTC)限度値の更新、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)の要求事項の改訂、およびデクロランプラス、メトキシクロル、UV-328の追加が含まれています。表Aは、これらの附属書1の更新をまとめたものです。さらに、POPsを含む廃棄物の取り扱いと管理に関するPOPs規則の附属書4と5も適宜改正されてます。

    表A: 附属書1の主な変更点

    物質名 変更点 可能な用途

    ヘキサクロロベンゼンHexachlorobenzene (HCB)

    新たに追加されたUTC限度値:

    •  物質、混合物および成形品≦10 mg/kg
    特定の工業化学物質の製造過程で副産物として生じ、いくつかの農薬に不純物として含まれる
    ペンタクロロフェノールおよびその塩類とエステル類Pentachlorophenol and its salts and esters (PCP)

    新たに追加されたUTC限度値:

    • 物質、混合物および成形品≦5 mg/kg
    殺虫剤として使用され、繊維、皮革、木材に含まれる

    ペルフルオロオクタン酸Perfluorooctanoic acid (PFOA)

    • PFOAの輸送される分離中間体での使用が廃止される
    • ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末の製造に関連するPFOAの詳細がさらに改訂される
    • ペルフルオロオクチルブロミドおよびペルフルオロオクチルヨウ化物を含むペルフルオロオクタン酸(PFOA)の使用を許可する既存の免除措置に対して、期限が2026年12月31日まで延長される
    フッ素エラストマーやフッ素樹脂の製造、こびりつかない台所用品の製造、繊維、皮革、紙の撥油、撥水、防汚のための表面加工に使用

    デクロランプラス

    Dechlorane plus

    新たに追加されたPOPs化学物質:

    • 物質、混合物および成形品≦10 mg/kg
    • 航空宇宙、宇宙、防衛、医療画像装置、車両/機械の交換部品に関する特定の免除措置
    • 注:ほとんどの免除措置は、2030年2月26日までに失効する。交換部品は、成形品のサービスラインの終了まで、もしくは2044年12月31日のいずれか早い日まで許可される。
    難燃剤として、ナイロン、ポリプロピレン、ゴム、電線・ケーブルの絶縁体、テレビやコンピュータ・モニターのコネクターなどのプラスチックに使用
    UV-328
    新たに追加されたPOPs化学物質:
    • 物質、混合物および成形品≦10 mg/kg
    • 産業用コーティング(例:鉄道車両)、採血管、航空宇宙の交換部品に関する特定の免除措置
    • 注:ほとんどの免除措置は、2030年2月26日までに失効する。特定の製品の交換部品は製品のサポート終了まで、または2044年12月31日のいずれか早い方まで使用が許可される。特定の医療機器におけるLCDディスプレイは製品のサービス終了まで使用が許可される。

    UV/太陽光照射下での変色や劣化から素材を保護する紫外線吸収剤として塗料、コーティング剤、プラスチック、食品包装などの用途に使用

    メトキシクロル

    Methoxychlor

    新たに追加されたPOPs化学物質:

    • 物質、混合物および成形品 ≦ 0.01 mg/kg
    殺虫剤


    [1] The Persistent Organic Pollutants (Amendment) Regulations 2025

    [2] The Persistent Organic Pollutants (Amendment) (No. 2) Regulations 2025

  • EU: REACH規則 第33次候補リスト更新のためのパブリックコンサルテーション開始

    2025年2月28日、欧州化学物質庁(ECHA)はREACH候補物質リストの第33次更新に向けたパブリックコンサルテーションを開始しました1。パブリックコンサルテーションは、2025年4月14日に締め切られます。

    高懸念物質(SVHC)として3物質が提案されています。委員会がこれらの物質について全会一致で合意に達した場合、候補リストに掲載されるSVHCの総数は、2025年6月または7月に247から250に増えます。

    表Aは、物質名、識別番号(CASおよびEC)、提案理由、および可能な用途を示しています。 

    表 A. SVHC候補リストに含まれる物質について

    物質名 CAS 番号
    (EC 番号)

    提案理由 可能な用途

    1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]-トリシロキサン

    1,1,1,3,5,5,5-heptamethyl-3-[(trimethylsilyl)oxy]trisiloxane (M3T)

    17928-28-8 (241-867-7)

    vPvB (Article 57e)

    • 化粧品、パーソナルケア製品、硬水、芳香剤など
    • 塗料、コーティング剤、接着剤の結合剤

    デカメチルテトラシロキサン

    Decamethyltetrasiloxane (L4)

    141-62-8 (205-491-7)

    vPvB (Article 57e)

    • 化粧品、パーソナルケア製品、洗浄剤など
    • 自動車ケア製品

    テトラ(ナトリウム/カリウム) 7-[(E)-{2-アセトアミド-4-[(E)-(4-{[4-クロロ-6-({2-[(4-フルオロ-6-{[4-(ビニルスルホニル)フェニル]アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]プロピル}アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ}-5-スルホネート-1-ナフチル)ジアゼニル]-5-メトキシフェニル}ジアゼニル]-1,3,6-ナフタレントリスルホネート

    Tetra(sodium/potassium) 7-[(E)-{2-acetamido-4-[(E)-(4-{[4-chloro-6-({2-[(4-fluoro-6-{[4-(vinylsulfonyl)phenyl]amino}-1,3,5-triazine-2-yl)amino]propyl}amino)-1,3,5-triazine-2-yl]amino}-5-sulfonato-1-naphthyl)diazenyl]-5-methoxyphenyl}diazenyl]-1,3,6-naphthalenetrisulfonate (Reactive Brown 51)

    -
    (466-490-7)
    生殖毒性 (Article 57c)
    • 繊維染料および含浸製品

    注) 
    vPvB:極めて難分解性で生物蓄積性が非常に高い物質

     

  • France:特定の製品におけるPFASの使用禁止を発表

    フランスは、特定の製品に含まれるペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の使用を禁止する新法を正式に公布しました1

    PFASは、非常に高い環境残留性を示し、数十年から数世紀にわたって持続する物質群としてよく知られています。EU全体のPFAS規制を採択するプロセスが進行中である一方、フランスは現在、特定の製品におけるPFAS禁止を採択することで主導権を握っています。
    新法によると、2026年1月1日から、化粧品、衣料用繊維製品(セキュリティおよび民間保護専門家用の防護服を除く)、およびスキー用ワックスの3つのカテゴリーの消費財において、PFASを含む製品の輸入および販売が禁止されます。2030年1月1日からは、禁止措置はすべての繊維製品に拡大されるます。

    ただし、PFASの濃度が残留値以下の製品には禁止措置は適用適用されません。この残留値は政令によって定義されます。

    製品関連の禁止に加え、新法はPFASに関する飲料水の衛生管理についても規定しています。国家計画では、5年以内にPFASを含む工業用水排出をなくすことを目標としています。  PFASの年間排出量が100gを超えた場合、PFASを水中に排出するすべての施設に対して、100gあたり100ユーロの課微金が課されます。

     

    [1] French Law No. 2025-188 of 27 February 2025 on the protection of the population from the risks associated with PFAS

2025年2月の情報

  • EU: POPs規則に基づくPCBとPBDEの新たな規制値を提案

    欧州連合(EU)はこのほど、ポリ塩化ビフェニル (PCBs)1 および ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDEs)2を対象とした残留性有機汚染物質(POPs)Regulation(EU)2019/1021の改正を提案しました。この改正は、さまざまな製品に含まれるこれらの有害物質の意図しない存在に対してより厳しい制限を設けることで、人の健康と環境をさらに保護することを目的としています。

    PCBs および PBDEs 環境中に残留し、生物濃縮され、人の健康と生態系に重大なリスクをもたらす有害化学物質です。PCBsは1980年代に禁止されるまで、電気機器、潤滑油、その他の工業用途に広く使用されていました。

    しかし、現在でも特定の製品に意図しない微量汚染物質として含まれていることがあります。一方、 PBDEs 難燃剤として電子機器、繊維製品、家具などによく使われていました。その使用は廃止されましたが、玩具や育児用品のような消費者向け製品を含むリサイクル材料にはまだ含まれている可能性があります。

    今回の改正では、これらの物質に対するより厳しい非意図的微量汚染物質 (UTC) 限度値が導入され、より確実な思考と市場での存在感の低減が図られます。

     

    1. ポリ塩化ビフェニル (PCBs)

    パラメーター 詳細

    範囲

    Applies to PCBs as unintentional trace contaminants (UTC) in substances, mixtures, and articles.

    一般的なUTC限度値

    ≤ 0.2 mg/kgfor the sum of PCBs in substances, mixtures, and articles (upon entry into force)

    有機顔料および有機染料のUTC特別限度値

    ≤ 25 mg/kgfor the sum of PCBs in mixtures, articles containing such organic pigments or dyes upon entry into force, reducing to≤ 10 mg/kgafter three years of entry into force.

    The testing method of ISO 787 – 28/2019 or equivalent can be used to measure the PCBs content.

    2. ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)

    現在、PBDEの合計のUTC限度値3は500mg/kgですがが、以下のように改正することを提案しています3

    パラメーター 詳細
    範囲

    Applies to tetraBDE, pentaBDE, hexaBDE, heptaBDE, and decaBDE in mixtures and articles, including recovered materials.

    一般的なUTC限度値

    ≤ 10 mg/kgfor the sum of PBDEs in mixtures and articles(See remark 1)

    回収材料の特別UTC限度値

    ≤ 500 mg/kgupon entry into force, reducing to350 mg/kgby 30 December 2025, and200 mg/kgby30 December 2027.(備考1参照)

    育児用品および玩具のUTC特別限度値(備考 2参照)

    ≤ 500 mg/kgupon entry into force, reducing to350 mg/kgby 30 December 2025, and10 mg/kgeffective 18 months after entry into force.(備考 1参照)

    備考1: Regulation (EC) No 1935/2004 の対象となる食品接触材料は除きます。

    備考 2: 育児用品とは、子供が座ること、睡眠、くつろぐ、清潔にする、着替える、 一般的な体の手入れをする、授乳する、おしゃぶりをする、また移動および保護することを容易にする製品を指し、回収材を含む、または回収材で作られたものを含みます。玩具とは、指令 2009/48/EC の対象物を指します。

     

2025年1月の情報

  • EU:REACH規則、 SVHC (高懸念物質)候補リスト物質数が247に

    2025年1月21日、欧州化学物質庁(ECHA)はREACH候補物質リスト1の第32次更新を公表しました。5つの高懸念物質(SVHC)が新たに追加され、1つの項目が更新されました。現在、候補リストには247のSVHCが含まれています2

    2024年9月のパブリックコンサルテーションで提案されたすべての物質がSVHCとして特定されました。その中には、 トリス(4-ノニルフェニル、分岐および直鎖)ホスファイト(TNPP)が含まれており、これは2019年に「0.1w/w以上の4-ノニルフェノール、分岐および直鎖(4-NP)を含む」という条件付きで候補リストに既に掲載されていました。

    TNPPの内分泌かく乱特性は、その組成における4-NPの存在とは無関係であるため、この項目は今回の更新で改訂されています。したがって、この項目の詳細は、0.1% w/w以上の4-NPを含むかどうかに関係なく、物質が固有の特性に基づいて基準を満たすことを明確にしました。

     

    表A. SVHC候補リストに含まれる物質について

    物質名 CAS 番号
    (EC 番号)

    提案理由 可能な用途

    6-[(C10-C13)-アルキル-(分岐, 不飽和)-2,5-ジオキソピロリジン-1-イル]ヘキサン酸

    6-[(C10-C13)-alkyl-(branched, unsaturated)-2,5-dioxopyrrolidin-1-yl]hexanoic acid

    2156592-54-8 (701-118-1)
    生殖毒性 (Article 57c)
    • 油圧作動油、潤滑油、グリース、金属加工油

    トリフェニルホスホロチオエート

    O,O,O-triphenyl phosphorothioate (TPPT)

    597-82-0 (209-909-9)
    PBT (Article 57d)
    • 潤滑油やグリース
    • 冷蔵庫の冷却液、オイル式電気ヒーター
    • 自動車サスペンションの作動液、モーターオイルの潤滑油、ブレーキ液

    オクタメチルトリシロキサン

    Octamethyltrisiloxane

    107-51-7
    (203-497-4)
    vPvB (Article 57e)
    • 化粧品やパーソナルケア製品
    • 自動車用ケア製品、つや出し剤、ワックス混合剤、洗浄剤、洗浄剤に使用
    • コーティング、非金属表面処理、シーラント、接着剤

    トリス(ペルフルオロプロピル)アミン

    Perfluamine

    338-83-0(206-420-2)
    vPvB (Article 57e)
    • 電気、電子、光学機器、機械、車両の製造
    • 冷蔵庫の冷却液、石油電気ヒーター

    トリフェニルチオホスフェートとそのtert-ブチル化フェニル誘導体の反応生成物

    Reaction mass of: triphenylthiophosphate and tertiary butylated phenyl derivatives

    192268-65-8 (421-820-9)
    PBT (Article 57d)
    • 潤滑油、グリース
    • 冷蔵庫の冷却液、石油電気ヒーター
    • 自動車サスペンションの作動液、モーターオイルの潤滑油、ブレーキ液
    候補リストの更新項目

    トリス(4-ノニルフェニル、分岐および直鎖)ホスファイト(TNPP)

    Tris(4-nonylphenyl, branched and linear) phosphite (TNPP)

    -
    (-)
    内分泌かく乱作用 (Article 57(f) – 環境)
    • ポリマー、接着剤、シーラント、コーティング製品
    • プラスチックおよびゴム製品の製造


    注:

    PBT: Persistent, bioaccumulative, toxic(難分解性、高蓄積性、有毒性)

    vPvB: very Persistent, very bioaccumulative(非常に難分解性、生物学的蓄積性が非常に高い)

     

  • USA: カリフォルニア州OEHHAはプロポジション65の警告文に関する質問と回答を修正

    カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)、現行の略式(ショートフォーム)警告文の改訂に対応して、2 つの質問と回答(Q&A)の文書1,2 を修正しました。これらの文書は、有害な化学物質への潜在的な暴露について、企業が消費者に明確かつ合理的なプロポジション65(Prop 65)の警告の提供すをサポートするものです。

    改訂されたQ&Aには、第6条、プロポジション65の明確かつ合理的な警告文、インターネットやカタログの警告文に関連する情報、および略式警告文の新しい要件に関する、より詳細で更新されたガイドラインが含まれています。特に企業向けのQ&Aでは、Prop 65の警告文が必要かどうかを判断する方法を詳しく説明しています。企業は、自ら試験を実施したり警告の必要性を評価したりすることができ、また暴露評価を実施するために毒物学者に依頼することもできます。

    新しい略式警告では、少なくとも1つの化学物質名を記載する必要があります。2028年1月1日以前に製造され、ラベル付けされた製品は、以前の短い形式の警告文を使い続けることもでき、新しい警告を使い続けることもできます。企業には、消費者向け製品のラベルに全文または短文の警告内容のいずれかを使用する選択肢があります。一般の人がはっきりと見ることができる警告文であれば、長文警告の活字の大きさに決まりはありません。ただし、略式警告文の文字サイズは6ポイント以下にしてはいけません

    [1] Proposition 65 Clear and Reasonable Warnings Questions and Answers for Businesses, Article 6 Clear and Reasonable Warnings

    [2] Proposition 65 Clear and Reasonable Warnings Questions and Answers for Businesses: Internet and Catalog Warnings

  • USA:オレゴン州、子供向け製品のHPCCCHリスト改訂

    2024年12月、オレゴン州保健局(The Oregon Health Authority: OHA) は、theToxic-Free Kids Act の改正案を発表し、the list of High Priority Chemicals of Concern for Children's Health(HPCCCH:子供の健康に懸念のある優先度の高い化学物質)のリストを73物質から83物質に拡大しました。この改正はまた、2025年1月1日に施行した法案HB 30432からの変更も取り入れています。

    The Toxic-Free Kids Act で特定の条件を満たせば、免除を申請することができます。この法律で義務付けられているように、OHAは3年ごとにHPCCCHのリストを見直します。ワシントン州環境省の「子供への影響が懸念される化学物質報告リスト(List of Chemicals of High Concern to Children :CHCC) 」から10種類の化学物質が追加されました。これは、オレゴン州内で2024年および2025年に販売または提供される製品について、2026年1月31日を期限とする2年ごとの届出に適用されます。表Aは、HPCCCHのリストに新たに追加された化学物質を示しています。

     

    その他、主な更新は以下の通りです

    1. 報告要件

    • 製造業者は、自社製品のブランド名と製品モデルの両方を報告する必要があります。製品モデルとは、製造業者が製品を流通させる際に使用する特定の製品名を指します。さらに、化学物質の濃度範囲は、各化学物質の最高レベルのみを報告するのではなく、報告対象化学物質を含む構成部品ごとに個別に報告する必要があります。

    2. 報告期限

    • 報告期限は、偶数年の1月1日から1月31日に変更されました。この改正により、通知義務の免除申請や、製造業者が製品からHPCCCHを削除または代替したことをOHAに通知しなければならない期限など、いくつかの期限が改訂された報告期限に合わせて変更されます。

    3. ハザードアセスメント (HA)

    • 化学物質の代替に関する HA は、3年ごとに再提出する必要があり、代替化学物質が 6年間承認されている場合、製造業者は3回目の HA 提出を免除されます。
    • この改正はまた、承認されたHAに指定されていない代替化学物質を使用した製品を販売または販売のために提供することが違反であることを明確にしています。

     

    4. 適用除外

    • 製造業者は、特定の条件を満たすことを条件に、化学的に同一の製品モデルを承認された免除リストに追加することを要求できます。

     

    表A:新たにHPCCCHリストに追加された化学物質(10品目)

    化学物質名 CAS no.
    潜在的用途
    Di-(2-methoxyethyl) phthalate (DMEP)
    117-82-8
    高分子材料、塗料、ラッカー、ワニスの可塑剤
    Dipentyl phthalate (DPP)
    131-18-0 ポリ塩化ビニル(PVC)の可塑剤
    Bis (2-ethylhexyl) tetrabromophthalate (TBPH)
    26040-51-7
    建築材料や、PVC製の電気機器、電子機器、電化製品の不燃性可塑剤
    Tris (2,3-dibromopropyl) phosphate (TDBPP)
    126-72-7
    硬質フォーム、透明キャストアクリル板、ラッカー、スチレンブタジエンゴム、ラテックスゴム、硬化型不飽和ポリエステル、プラスチックの難燃剤
    Tri-n-butyl phosphate (TNBP)
    126-73-8
    主に航空機の油圧作動油の難燃剤として使用。他、溶剤、可塑剤、蛍光染料のキャリア、消泡剤など
    Perfluorooctanoic acid and related substances (PFOA)
    335-67-1
    カーペット、家具、衣類の撥水や撥油、防汚処理に使用
    Tricresyl phosphate (TCP)
    1330-78-5
    PVC、セルロース系ポリマー、熱可塑性プ ラスチック、合成ゴムの難燃剤および可塑 剤
    Bis(chloromethyl)propane-1,3-diyl tetrakis-(2-chloroethyl) bis(phosphate) (V6)
    38051-10-4
    ポリウレタンフォームの添加剤難燃剤
    Isopropylated triphenyl phosphate (IPTPP)
    68937-41-7
    難燃剤、可塑剤として、各種PVC製品、ポリウレタン、 繊維塗料、接着剤、塗料、顔料分散液に使用
    Decabromodiphenyl ethane (DBDPE)
    84852-53-9
    様々なポリマー用途や繊維用の添加剤難燃剤

     

  • 日本:メトキシクロル、デクロランプラス、UV-328の使用禁止

    経済産業省は、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants:POPs)3物質を化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に盛り込む閣議決定されたと公表しました。メトキシクロル、デクロランプラス、UV-328が第一種特定化学物質に指定されるとともに(2025年2月18日施行)、デクロランプラスまたはUV-328を含む一部の製品は2025年6月18日までに日本で輸入が禁止されます。

    2023年5月に開催されたストックホルム条約第11回締約国会議(COP11)2において、メトキシクロル、デクロランプラスおよびUV-328を条約の附属書A(廃絶)に追加することが決定されました。日本はストックホルム条約加盟国として、これらの化学物質を規制することが求められていました。第一種特定化学物質として指定されたため、許可をもらった場合のみ(原則禁止)製造または輸入することができます。以下の表は、デクロランプラスとUV-328を含む潜在的な用途と輸入禁止製品をまとめたものです。
     
    表1: 新たに追加されたPOPsの潜在的な用途

    化学物質

    潜在的な用途3

    メトキシクロル

    殺虫剤、除草剤など

    デクロランプラス

    電子機器および電気機器の部品、シリコーンゴム、樹脂に防炎性能を与えるための調製添加剤など

    UV-328
    接着剤、テープおよびシーリング用の充塡料、樹脂に紫外線を吸収する性能を与えるための調製添加剤など
     
     
    表2:デクロランプラスおよびUV-328を含む輸入禁止製品

     

    化学物質名 輸入禁止製品4 施行期日
    デクロランプラス*
    • 潤滑油
    • 樹脂に防炎性能を与えるための調製添加剤
    • 電子機器および電気機器の部品
    • シリコーンゴム
    • 接着剤およびテープ


    2025年6月18日
    UV-328
    • 潤滑油
    • 樹脂に紫外線を吸収する性能を与えるための調製添加剤
    • 塗料およびワニス
    • 接着剤、テープおよびシーリング用の充塡料

     

    *防衛省設置法(昭和29年法律第164号)第4条第1項第13号に規定する装備品等の断熱材の製造業者に対するデクロランプラス使用の許可は、2030年2月26日までとする。

     

    [1] METI’s press release – Cabinet Decision

    [2] COP11 – Eleventh meeting of the Conference of the Parties to the Stockholm Convention

    [3] Background document to designate three POP chemicals

    [4] Japanese Gazette on 18 December 2024

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