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第一電通株式会社

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業界初!機能安全認証取得のサーボナットランナーとサーボプレスで、海外展開を加速

製造工程の要に、最高レベルの安全機能(STO)を装備


 

製造業において、安全上のリスクを許容可能なレベルまで低減し、潜在的な故障に対する安全管理を確立することは必須要件である。では、自社の製品が「安全」であることを、どのように示せるだろうか。認証取得はその方法の1つと言える。

サーボナットランナーやサーボプレスを製造する第一電通株式会社は、産業機器の機能安全認証で最高レベルのSIL3, CAT3を、業界で初めて取得。認証取得により、自社製品に安全機能(STO)が備わっていることを国際的に証明できるようになった。今回、第一電通株式会社 可児工場の皆さんに、認証取得の背景や、認証取得に至るまでの道のり、そして今後の展望についてお話を伺った。

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◆第一電通株式会社について

第一電通株式会社は、サーボナットランナーを世界で初めて産業用途に展開したメーカーだ。自動車をはじめとする製品の、それも重要部位の組立自動化に欠かせない製品を、岐阜県可児の地で開発製造してきた。

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「第一電通は、サーボナットランナー、サーボプレス、ハンドナットランナーなどの自動締付装置や自動圧入装置を、開発製造、販売してきました。サーボナットランナーは、自動車でいえば、エンジンやギアなどの重要部位の製造工程で使われます。ねじを締めるだけでなく、どのくらいの力でねじを締めたか等の記録をする機能もあります」と語るのは白石さん(第一電通株式会社 技術開発本部 部長)。

またサーボプレスのデモ機を示しながら、水口さん(同社 営業本部営業部 海外営業課長)は説明を続ける。「サーボプレスは、構造的にはナットランナーと似ていて、加圧力を管理する製品です。こちらもエンジンやトランスミッションなどの重要部品で使われます。いわゆる「稼働する」部分、保安度が高いところに使われることが多いですね」

 

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◆海外展開の際、「認証」が必須条件になってきた

創業以来、「締める」、「加圧する」、そしてそれらを「管理する」製品をもって国内の自動車業界を支えてきた同社。1980年代からは海外に展開を開始する。

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「アメリカで子会社を立ち上げ、北米の自動車メーカー向けにサーボナットランナーを販売開始したのが、海外展開の最初です」と白石さんは説明する。「アメリカ以外では、中国や韓国、インドにも展開しています。日系のお客様やそのつながりのあるお客様などにも門戸を開いていただき、実績を上げてきました」

その一方で、特に欧米では、製品の安全性を証明する「認証」が求められるようになってきた。白石さんは次のように語る。「中小企業故の知名度の低さから、販売につながらないケースも過去にはありました。さらに昨今は、欧米のお客様をはじめ、日系のお客様においても、認証が納入の必須条件となっています。(第一電通の)製品の信頼性、安全性を認知いただき、既存のお客様と継続的にお仕事をさせていただくことはもちろん、新規のお取引のためにも必要な認証となります」

 

 

 

◆「STO 認証」で検索し、まずは勉強するところから

認証取得やそれに準ずる機能が要されるようになってきた中、「STOに準拠する回路を作ってほしい」という依頼を受けた第一電通。STOSafe Torque Off、セーフトルクオフ)とは、「電気・電子的に、安全に回転を止める」ための安全機能で、IEC 61800-5-2で定められているものだ。

「それって認証がいるの?という話から、『STO 認証』で検索したんです。何社かヒットしたのでそれぞれに問い合わせをしたところ、最初に(テュフズードジャパン)浅井さんが『認証は必要ですよ』と返信をくれました。また、(第一電通の)社長の判断で、『機能安全に対する勉強として認証取得を』という流れがあったのも同じころ。まずは社内で勉強をしなければと、外部の講習やセミナーに参加をしていました」(白石さん)

 

 

◆認証への第一ステップは、2日間の基礎講習から

その後、日本機械学会での再会が縁となり、テュフズードへの依頼に至ったという。認証取得までの道のりは、2日間の基礎講習から始まった。テュフズードジャパン担当者が講師役となり、第一電通の開発や認証に関わるメンバーに対して機能安全の基礎を伝える。実務に即した内容も織り交ぜながら、お互いの目線をそろえる講習だ。

第一電通5白石さんは次のように振り返る。「懇切丁寧に対応していただき、助かりました。(講習の内容は)やはりそこまでやらなきゃいけないか…というような内容でしたね(笑)。その後の実務で、講習の内容を復習しながら進めました。もし今、もう一度講習をやってもらえたら、いろいろと質問ができると思います。当初は質問することすらできなくて」と多少の後悔をにじませる。

初めて認証取得をする場合、慣れない専門用語や計算式などの習得がハードルとして立ちふさがるのは確かだ。テュフズードジャパンの浅井は次のように答えた。「どのメーカーさんも、少しずつ上っていきながら、認証に上手に慣れていきます。そうすると設計コストや開発コストが下がっていく。回していけば回していくほど、今後、効率の良い認証になっていくと思います」

また、コロナ禍に進んだ認証取得プロジェクト。基本的にはオンサイトで進めながら、細かな確認事項などはオンラインでとハイブリッド形式で進めたという。「プロジェクト自体はコロナ禍の前から始まりましたが、結果コロナ禍と重なりましたね。本当はドイツから監査員が来日する予定が、オンラインに変わることもありました」(白石さん)

 

 

◆最高レベルのSIL3、CAT3認証を取得

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基礎講習から始まり、コロナ禍による制限がある中でEMC試験などもクリアし、2023年、第一電通は業界初となる機能安全認証取得を成し遂げた。

第一電通が取得した認証は、Safety Function: STO (IEC 61800-5-2) SIL 3, CAT 3。SIL(SIL: Safety Integrity Level)は、国際規格で定められる機能安全の安全度水準で、リスクレベルに見合った信頼性および安全性の尺度となる。CATは、ISO 13849-1で規定される安全カテゴリを示す。このたび第一電通は、産業機器の機能安全認証で最高レベルのSIL3, CAT3を取得した。

認証取得後の展開について、白石さんは次のように語る。「正式な販売はもう少し先ですので、量産品としての効果はこれからですが、次の三つの点を期待します。一つ目は、すでに安全機能(STO)を要望されているお客様に、認証のステータスをお伝えできること。二つ目は、欧米のお客様に対し、新たな販売が期待できること。そして三つ目は、弊社のことを知らないお客様で、認証取得をきっかけに弊社製品を購入対象としていただけることです。このように、機能安全認証を取りましたよということが売り文句になっていけたらと思っています」

 

 

◆認証取得は、私達のような中小企業の製品を知っていただく手段になる

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認証取得とそれに至るまでの道のりは、今後の事業発展を支え得る経験になったと白石さんは語る。「今回、認証対象とならない製品群の開発・製造に対しても、今回の経験を生かせると思います。また、工場審査の認定をいただき、物作りの源流から製品に求められる信頼、安全を作り出す事の重要性を学び直す事もできました」

また同じ課題を抱える会社に対しては、「私達のような知名度が無い中小企業が、特に海外の市場で大手企業と競争していくために、認証取得は私達の製品をお客様に知っていただく手段になります」と語る。

そして最後に、今後の展望について伺った。「弊社のマーケットは自動車業界が多くの比率を占めますが、今後は、航空・宇宙等を含む他業界にも販路を伸ばしたいと思っています。また、大規模な投資が行われているモーターやバッテリー関係の分野において、信頼と実績を積み上げることにより、需要が高まっているサーボプレスのトップシェアを狙っていきます。また今後益々進化するIoTソリューションにも、機能安全を装備した製品として提案できるよう、邁進していきます」(白石さん)

 

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