欧州バッテリー規則は、2006年に発効したバッテリー指令の改正とアップグレードで、バッテリー製品に関連するライフサイクル全般を規定しています。テュフズードは欧州バッテリー規則に関するサービス開発に注力しており、お客様のニーズに合わせたサポートを提供します。
<目次>
>欧州バッテリー規則の概要
>欧州バッテリー規則の対象製品
>対象製品の適合項目
>欧州バッテリー規則とカーボンフットプリントとの関連
>欧州バッテリー規則の関連事業者
>事業者が法的責任を負う事業内容
>欧州バッテリー規則に関するよくある質問(FAQ)
>認証取得までの流れとテュフズードのサービス
>欧州バッテリー規則に関する詳細資料
>欧州バッテリー規則に関するお問合せ
欧州バッテリー規則には原材料の調達から設計、品質管理、回収、再利用、再使用までが含まれます。この規則の目的は、欧州グリーンディールの一環として、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするための循環型経済への移行を促進することです。規則(Regulation)は指令(Directive)と異なり、EU加盟国全体に直接適用され、国内法の成立を待つことなく優先適用されます。
この規則は2023年8月に発行され、2024年から段階的に実施規則と委任規則が施行されます。関連事業者は指定された開始時期に従って義務を履行する必要があります。
欧州バッテリー規則の目的は、EUが2019年に発表した「欧州グリーンディール」で掲げている、2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ目標の達成のためです。さらに、電池需要が拡大している中で、経済成長も視野に入れていると考えられます。
欧州バッテリー規則の対象となる製品は以下の通りです。
詳細については、本ページ下部より詳細資料をダウンロードいただけます。
- 自動車用(SLIを含む)バッテリー
- 軽輸送手段(LMT)用バッテリー
- 2kWh以上の産業用バッテリー
- ポータブルバッテリー
- 一般用ポータブルバッテリー
などEU域内で流通する全てのバッテリーが対象です。
対象製品が適合する必要がある主な項目は以下の通りです。
- EU適合宣言(CEマーキングの貼付)
- 品質システム
- 有害物質の制限
- リサイクルコンテンツ
- 終末期管理(回収)
- CFP(カーボンフットプリント)
- サプライチェーンデューデリジェンス方針の創設
など。詳細については、当ページ下部よりお気軽にお問い合わせください。
カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスの内容を分かりやすく表示する仕組みです。欧州バッテリー規制では、カーボンフットプリントの申告や上限値の導入が義務付けられます。EUで電池の製造やEVの販売を行いたい場合は、カーボンフットプリントを実施し申告する必要があります。
関連リンク
>カーボンフットプリント検証
欧州バッテリー規則に関連してくる事業者は以下の通りです。
- Manufacturer(製造業者):バッテリーを設計/製造し、 その製品を自己の名称または商標にて販売する、もしくは自己の利益目的の為に使用する (EU Battery Regulation, Article 2(27))
- Authorized representative(欧州認定代理人): EU域内で本規則の第Ⅳ章及びⅥ章の要件に基づく製造者の義務に関する特定業務について、製造業者に
代わって実行する様に製造業者から書面による委任を受けたもの (EU Battery Regulation, Article 2,1(53))
- Importer(輸入業者):EU域内に設立された第三国からバッテリーをEU市場へ上市する業者 (EU Battery Regulation, Article 2,1(54))
- Distributor(販売業者):製造業者及び輸入業者以外で、サプライチェーンに帰属するバッテリーを市場に流通させる業者 (EU Battery Regulation, Article
2,1(55))
- Producer(生産者):製造業者・輸入業者・販売業者・その他法人 (EU Battery Regulation, Article 2(37))
お客様が欧州バッテリー規則の関連事業者かどうか不明な場合は、本ページ下部よりお問い合わせください。
上記に該当する事業者は欧州バッテリー規則において、以下の事業内容に責任を負います。
- バッテリーをEU市場で入手可能にすること :流通可能なバッテリーの供給/無償・有償を問わず商業的に入手可能にすること (EU Battery Regulation, Article 2,1(14.15))
- バッテリーをEU市場で利用可能にすること :EU域内で意図された目的での一次利用を実現する事 (EU Battery Regulation, Article 2,1(16))
- バッテリーの再製造(Reーmanufacturing):使用済みバッテリーへの技術的作業(回収したバッテリーモジュールとセルを全て分解して評価し、それらを使用する)ことで、バッテリー容量の90%以上の回復、個々のバッテリーセルの状態が均質(3%以内の差)を実現し、その結果としてそのバッテリーを元来設計された利用目的(用途)にて使用可能な状態にすること (EU Battery Regulation, Article 2,1(26a))
- バッテリーの再利用(Reーpurposing):廃棄バッテリーでないバッテリーの部品又は完成品を、そのバッテリーが本来設計された目的(用途)とは異なる目的(用途)で利用すること (EU Battery Regulation, Article 2,1(26))
- バッテリー再使用(Re-use)の為の準備:廃棄されたバッテリー、構成部品を再処理することなく再使用できる様準備・点検・洗浄または修理回復作業をおこなうこと(EU Battery Regulation, Article 2))
- バッテリー再利用(Re-Purpose)の為の準備 :(EU Battery Regulation, Article 2,1(25a))
- EU適合宣言義務の発生はいつから?CEマーキングについては?
➡発効日の12か月後、つまり2024年8月から義務が発生します。CEマーキングについても同様です。ただし、EU適合宣言書は当局の要請があった場合にのみ提出されます。
- 技術文書はいつまでに整備されているべき?
➡発効日の12か月後、つまり2024年8月には整備されているべきです。ただし、技術文書は当局の要請があった場合にのみ提出されます。
- 適用日に法規適合がなされていない場合、EU域内に持ち込めない?
➡はい、持ち込むことは出来ません。ただし、適用日以前に域内在庫である製品はこの規則の対象とはなりません。
- 規制物質に関して、どのように含まれていない事を示す必要があるか?
➡証明方法に特定の要件はありませんが、基本的にはREACHやEVの製品寿命に関する指令と同様の方法で証明できます。
- 品質システムの監査はどのような頻度で行われるか?
➡リサイクル含有量及びカーボンフットプリントまたは品質システムへの変更が行われる場合には毎年実施(定期審査)されます。非通知訪問監査の可能性も含まれます。
- デューデリジェンスは規制物質を使用していない製品においても対応が必要?
➡はい、年間売上高が4000万ユーロを超える場合、バッテリー設計の詳細に関係なく、附属書Ⅹを含む第Ⅶ章までがNBによって監視される必要があります。
- テュフズードは同規則に関連するサービスを提供することが出来ますか?また、将来的にNotified Body(以下、NB)になる予定がある?
➡はい、テュフズードは2023年8月に欧州バッテリー規則に関するグローバルチームを編成し、規制に対応したワンストップショップとしてサービス提供しています。また、NBとしての準備も進めており、各国の認定機関が2023年末までに選定され、その後1年程度のプロセスを経てNBが選定される予定です。
テュフズードは欧州バッテリー規則に関するサービス開発に注力しており、バッテリーの専門家やサスティナビリティ関連の専門家、インスペクションの専門家など他分野の専門家を多く擁した専門チームを編成しています。お客様のニーズに合わせたサポートを提供しており、最初のQ&Aセッション(無料)において専門チームが最適なプランを提案します。
欧州バッテリー規則に関する詳細な情報や必要なバッテリーの種類、規則の成立過程、事業者が注目すべきポイントについての詳細資料をダウンロードできます。詳細情報をご希望の方は以下から資料をダウンロードしてください。
資料をダウンロード
欧州バッテリー規則に関する質問や、テュフズードのサービスについてのお問合せは以下よりお願いします。
お問合せはこちら