RED

RE指令とは?ー欧州に製品を輸出するためにクリアすべき課題ー

概要や適応範囲、適合させるために必要なこと、CEマークやサイバーセキュリティについて

概要や適応範囲、適合させるために必要なこと、CEマークやサイバーセキュリティについて

日本から欧州に無線機器を輸出して販売したい製造業者は、製品をRE指令に適合させる必要があります。
本記事では、RE指令の概要や適応範囲、適合させるために必要なこと、CEマークやサイバーセキュリティについて解説します。

 

<目次>

>RE指令とは?目的と内容を解説
>RE指令の適応範囲 R&TTE指令との違い
>RE指令とR&TTE指令の適用範囲の違い
>RE指令に製品を適合させるために必要なこと
1.該当製品の技術的な要件を満たす
2.無線試験の実態
3.CEマークの取得
>RE指令とCEマークの関係性
>RE指令のサイバーセキュリティのよくある誤解
>RE指令とサイバーレジリエンス法の関係
>テュフズードの無線試験サービス

 

RE指令とは? 目的と内容を解説

RE指令とは、欧州28ケ国内、つまりEU(European Union)で販売される無線通信機器の適合性を示す指令です。公式には「2014/53/EU」という名称で呼ばれています。また「Radio Equipment Directive」や「RED」、「無線機器指令」と呼ばれることもあります。RE指令は2016年、無線製品の健康と安全の確保および電磁両立性(EMC)、無線周波数の効率的な使用に関する製造基準を定めるために導入されました。

RE指令が導入された背景には、無線通信機能を備えたIoT機器の急速な増加に伴い、IoT機器を狙ったサイバー攻撃が急増したことが挙げられます。サイバー攻撃の脅威が増し、世界中でIoT機器等のサイバーセキュリティ対策が進められる中で、RE指令にセキュリティに関する要件が追加され、(*従来の予定から一年延期されました)から欧州で販売する無線機器に対するセキュリティ対策が義務化されることになりました。EUにおいて製品を流通させるには、RE指令に準拠する必要があります。無線機器として代表的なのは、無線電話機や放送用テレビ・ラジオ受信機、車庫を開閉リモコンなどがあります。これらの該当する製品をRE指令に適合しないで上市した場合は、違反規則に基づき、処罰を受ける可能性があります。RE指令は、「R&TTE指令(1999/5/EC)」の廃止に伴い、新たに制定されました。

関連リンク
>IoTデバイスのサイバーセキュリティー
>無線機器指令(RED)2014/53/EUに関連する新たなサイバーセキュリティ要件
>無線機器指令(RED)に基づく新しいEUセキュリティ法制

 

RE指令の適応範囲 R&TTE指令との違い

RE指令の適用範囲は、無線通信の受信専用機器です。それには放送受信機を含みます。また有線端末機器は対象外となります。無線機能を内蔵しているものは、すべてRE指令の対象となります。例えば無線モジュールが組み込まれた製品も対象となるため、注意が必要です。

 

RE指令とR&TTE指令の適用範囲の違い

R&TTE指令からRE指令へと移行された際には、適用範囲となる機器にも変更がありました。R&TTE指令では、有線電話などの有線端末機器も対象となっていた一方で、RE指令では対象外となりました。またR&TTE指令では対象外であったテレビやラジオの放送受信機が、RE指令では対象となっています。使用周波数範囲にも違いがあります。R&TTE指令では「9kHzから3,000GHz」でしたが、RE指令では「3,000GHz以下」となり、9kHz以下の機器も対象となりました。

 

RE指令に製品を適合させるために必要なこと

自社の製品をRE指令に適合させたい製造業者などは、次の3つに対応する必要があります。

1.該当製品の技術的な要件を満たす

EUに流通させたい製品が、RE指令に規定されている技術的要件を満たしている無線機器かどうかを確認しなければなりません。

2.無線試験の実施

製品がRE指令の要件を満たしていることを証明するために、無線試験を実施します。試験は第三者認証機関によって行われます。

3.CEマークの取得

無線通信試験に合格した後は、製品にCEマークと呼ばれるマークを付けることができるようになります。これにより、EU市場で自由に販売が認められます。

 

RE指令とCEマークの関係性

RE指令の規定には、CEマークの表示も含まれていることから、RE指令に適合する製品は、CEマークを表示する必要があります。つまりCEマークは、製品がRE命令に適合していることを示す認証マークを意味します。CEマークの「CE」とは、フランス語の「Conformité Européenne(英語:European Conformity)」の略です。英語表記のConformityは「適合性」を意味します。CEマークを取得した製品に、CEマークが付けられていないことがわかると、製造業者や販売業者は罰則として罰金を科されます。

CE認証とは?CEマーキングの重要性を解説

 

RE指令のサイバーセキュリティのよくある誤解

2022年1月12日、欧州連合官報は、RE指令のサイバーセキュリティに関連する「委任規則(EU)2022/30」を発表しました。これはRE指令を補足する規制です。

このRE指令委任規則は、サイバーセキュリティを強化するために定められています。2022年2月1日(現地時間)に発効し、2025年8月1日(*従来の予定から一年延期されました)に義務化が適用される予定です。これを受けて、製造業者などは新たな法的要件へと準拠する必要があります。同委任規則の法的要件の理解に努め、今後の変更にも備えておく必要があります。 

ここで、RE指令のサイバーセキュリティに関してよくある5つの誤解をご紹介します。
以下のように認識していた場合は、適切なサイバーセキュリティ対策が取れていない可能性があります。
詳細ご確認されたい場合は、ぜひ弊社まで一度お問い合わせください。

誤解➀:「RE指令委任規則には、RE指令の整合規格リリース後に対応するので問題ない」

誤解②:「サイバーセキュリティは、機器に対してのみ考えておけばよく、企業全体として取り組むことはない」

誤解③:「独自インターフェース、独自暗号方式は、世の中に詳細に知られていないため安全だ」

誤解④:「RE指令は無線機器のみを対象としているため、同じ製品に有線インターフェースがある場合、その有線インターフェースは対象外だ」

誤解⑤:「消費者向けIoT機器のサイバーセキュリティ規格である『EN303645』は、RE指令の整合規格なので『EN303645』だけ対応しておけばよい。」

 

RE指令とサイバーレジリエンス法の関係

欧州委員会は2022年9月15日、サイバーレジリエンス法(Cyber Resilience Act)の草案を発表しました。2025年後半の思考を予定しており、対象となるデジタル製品の上市にあたっては、セキュリティ要件への適合証明書(自己適合宣言または第三者認証)が求められることとなります。サイバーレジリエンス法は、RE指令を包含するため、サイバーレジリエンス法が施行された後、RE指令は廃止される予定となっています。

関連リンク
ニュース:サイバーレジリエンス法でサイバーセキュリティの規則を強化(2022年9月)

 

テュフズードの無線試験サービス

テュフズードでは、RE指令に対応するための無線通信機器の試験サービスをご提供しています。無線試験では、無線操作を目的とした電気製品を評価する試験を行います。RE指令の規制要件を満たし、製品のパフォーマンスを向上させ、コンプライアンス違反となるリスクを軽減するために必要となります。ま第三者による適合性評価は、市場競争力の強化にもつながります。テュフズードの専門的かつ技術資格のあるエンジニアは、無線・WPTデバイスの安全性、EMC、EMF、RFに関する国内・国際技術委員会で活動していますので、最新の規格や規制を理解し、貴社の市場価値を高めるご支援が可能です。

テュフズードの無線試験は、貴社のコンプライアンスや安全性、セキュリティを保証します。

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※電磁両立性(EMC):電子機器などが発する電磁波が、周辺機器に影響を与えず、同時に周辺からの電磁波の影響を受けずに動作する耐性。

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