製品の品質を保証する
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CLP規則(Regulation (EC) No 1272/2008)とは、GHSをベースとしたEU域内における化学品の分類、表示、包装に関する規則です。CLP規則で課している義務は分類、表示、包装および届け出であり、対象となるのは、物質または混合物のEU域内の製造者および輸入者となります。ただし、EU域内のサプライチェーンから協力を要請された場合にはEU域外でも実質的な対応が必要となる可能性があります。
EU(及びEEA)における工業化学物質規制に関する法制度フレームワークは、1967年公布のDSD指令(67/548/EEC 危険な物質指令)と1999年公布のDPD指令(1999/45/EC 危険な調剤指令)に主に基づくDSD/DPD指令フレームワークから、2006年公布のREACH規則と2008年公布のCLP規則を主とするフレームワーク(以下、REACH/CLP規則フレームワーク)に、2007年から経過措置をへて今や完全に置き換わっています。
この移行過程で、この法制度フレームワークは、旧DSD/DPD指令フレームワークの規制要素についての概念は残しつつ、ポリシーが大きく変化しています。そのポリシーの変化の一つは、化学物質の分類・表示・包装については世界との調和が図られたことです[1]。
CLP規則(Regulation (EC) No 1272/2008)は、国連により2005年に初版が公表され、二年おきに国連の機関で改訂版が公表されている「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(GHS)の物質及び混合物の分類、ラベル、包装の三要素に関する規則(CLP:Classification, Labelling and Packaging of substances and mixtures)についての規定をベースとしています[2]。以前は67/548/EEC(危険な物質)(DSD)・1999/45/EC(危険な調剤)(DPD)の指令によって規定されていたその三要素を、段階的にCLP/REACHフレームワークへの移行が2018年5月末をもって完了しています。
CLP規則の要求事項
分類表示
一部の除外項目を除き、全ての物質・混合物について、EU(およびEEA)に上市する前にEU(及びEEA)域内の製造者・輸入者・川下ユーザは、CLP規則に基づいて分類したラベル表示を行うことが求められています。
SDSセクション2への分類記載
また、REACH規則が求めるSDSには、CLP規則に基づく分離結果を表示することが求められています。DSD/DPD指令フレームワーク時には、DSD/DPDに基づく分類とラベル表示がおこなわれていました。一時この両SDSの併存が許されている時期がありましたが、今はDSD/DPD分類の記載は不必要です。
C&L届け出
また、ほとんどの物質について、その量の多少を問わず、EU(及びEEA)域内の製造者・輸入者は、C&Lインベントリ(登録簿)への分類・表示の届出(C&L届出)がEU(及びEEA)への上市1か月後までに求められます。ただし、REACHで登録を行った物質は、C&Lインベントリに届出したものとみなされます[3]。
PoisonCentreへ届出
CLP規則(No. 1272/2008)は、委員会規則 No. 2017/542 によって、CLP第25条に第7パラグラフの追加と付属書VIIIが追加され、この修正は2020年施行されます。この修正により、次のようなスケジュールで、混合物をEU(及びEEA)に上市している輸入者および川下ユーザは人健康に危険有害な物質(爆発物と高圧ガスを除く)を含む場合について、一定の要件を満たす場合、UFIと呼ばれるコードを取得するとともに、成分情報、応急処置、暴露予防手段の届出を求めるようになります。
2021年1月1日 家庭用など消費者用(consumer)の混合物
2021年1月1日 職人など専門家用(professional)の混合物
2024年1月1日 工場労働者など産業用(industrial)の混合物
テュフズードジャパンでは、お客様の製品に含まれる物質・混合物のCLP規則に基づく分類・表示を専門家により実施し、EU及びEEAの輸入者が円滑に各種届出できるような技術支援、あるいは、輸入者による届出の代行をお引き受けすることを通じて、日本のお客様のEU及びEEA域内でのビジネスの維持拡大にご協力します。
[1] 例えば、ラベルがDSD/DPDの欧州独自ものから、GHSの世界共通の物となりました。また、用語は、概念の変化がなくてもGHSに基づいた用語に変更になりました。たとえば、DSD/DPDフレームワークではpreparation(調剤)と呼ばれていたものが、mixture(混合物)と呼ばれるようになりました。Dangerous substance(危険物)と呼ばれていたものが、Hazardous substance(危険物、危険有害性物質)と呼ばれるようになりました。Dangerous substanceは「危険物」と訳されることが多かったですが、決して、もともと引火性や爆発性のようないわゆる「物理(化学)的危険性」だけではなく、発がん性や呼吸器感作性のような人健康有害性、水生生物に対する有害性を含んだ概念でした。
[2] GHSで国際的に合意された要素には、物質及び混合物の分類、ラベル、包装だけでなく、SDSの仕様があります。このSDSの仕様については、EUの現在の工業化学品規制フレームワーク(REACH/CLP規則フレームワーク)では、REACH規則で規定されています。
[3] REACH登録要件の中に、C&L情報が含まれているためです。
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