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ISO/ASTM 52920

ISOとASTM Internationalが連名で発行した国際規格であり、産業用AM製造のプロセスと製造現場に対する要求事項

ISOとASTM Internationalが連名で発行した国際規格であり (­) 産業用AM製造のプロセスと製造現場に対する要求事項

ISO/ASTM529201)とは

 

1. ISOとASTM Internationalが連名で発行した国際規格
2. ISO/ASTM 52920の位置づけ
3. ISO/ASTM 52920の活用
関連リンク

1)2023年6月23現在ではISO/ASTM 52920:2023


1. ISOとASTM Internationalが連名で発行した国際規格

国際規格とは

規格を利用されているエリアで分類されると、以下のように分類できます。

地区規格:業界規格や社内規格など、あるひとつの業界内、会社内で使われる規格

国家規格:JIS規格やDIN規格のように、主にある一つの国内で使われる規格

地域規格:EN規格のように、地域内の複数の国で共通して使われる規格

国際規格:ISOやASTM、IEC規格などのように世界中の国で共通して使われる規格

国際規格の制定団体であるISOとASTM Internationalは、それぞれのAMの規格化を担当する委員会ISO/TC 261とASTM International F42のジョイントグループでAMの規格を制定し、ISO/ASTMを冠した規格番号で発行しています。

ISO/ASTM 52920は産業用AM製造のプロセスと製造現場に対する要求事項

この規格の名称は以下の通りです。

Additive manufacturing — Qualification principles — Requirements for industrial additive manufacturing processes and production sites

AM分野の、適格性評価の原則について書かれている規格で、産業用のAM製造のプロセスと製造現場に対する要求事項が規定されています。

AM製品の品質保証がメイントピック

この規格ではAM製造の現状と課題を以下のように述べています。2)

アディティブ製造は、従来の製造方法に対する魅力的な代替手段となっている。

複雑な部品、分散型製造、カスタマイズされた製品の需要が増加している。

産業部品には高品質と安全性の要件が求められる。

アディティブ製造技術を使用した部品は、要件を満たしていることを検証する必要がある。

複雑な部品、分散型製造、カスタマイズされた製品への需要の増加により、広範な領域で経済的にAM技術を利用できるようになりました。 産業部品の場合、AM技術を使用して製造された部品が要件を満たしていることを確認する必要があります。 つまり、プロセスチェーンと(プロセスに関わる)環境を設計することにより、プロセス品質と製品品質を一貫して再現可能に保つ必要があります。

そのため、以下を目的としてこの規格が作られました。

高品質なAM部品のプロセス設計の基礎となる要件を示すこと。

規制産業において、特定の製品の要件を満たす基盤を確立すること。

この規格によって、AM量産品や補修部品の適切な製造に対する、共通のアプローチが提供されました。製造プロセス・製造現場がこの規格の要求事項を満たす場合、AM部品を調達する側からの、サプライヤー監査の範囲を最小限に抑えることができます。

2)ISO/ASTM DIS 52920:2021からテュフズードジャパン訳


2. ISO/ASTM 52920の位置づけ

ISO 9001やAS 9100などのQMS規格との違い

ISO/ASTM 52920は、そのAM製造プロセス・製造現場が品質保証されたAM部品を一貫して製造できるかどうかの基準になります。

品質、という名前が付く規格で有名なものに品質マネジメントシステム(QMS)規格があります。ISO 9001、ISO 13485(医療機器産業)、AS 9100(航空宇宙、防衛産業)、IATF 16949(自動車産業)などです。これらは、組織がQMSを持っているか、また、そのQMSが有効に機能しているかの基準です。つまり、その組織が品質や顧客満足に主眼を置いた経営をしているか、品質・顧客満足を実現するための仕事の仕組みがあり、きちんとその仕組みが機能しているかを見るための規格です。

では、QMSが存在し、有効に機能している(ISO 9001の認証を取得している)切削加工専門のA社があったとします。そのA社がAM製造事業に参入した場合、そこで製造されたAM部品は顧客の要求品質を一貫して再現できる品質保証されていると判断できるでしょうか。また、その判断をするのにQMSの規格は活用できるでしょうか。答えは、組織として妥当性は認証されているが、AM製造に関しては、AM製造技術としての観点で品質保証できるかどうかを確認しないとわからない、です。「AM製造技術としての観点で品質保証できるかどうかを確認」するのに利用できるのがISO/ASTM 52920です。


3. ISO/ASTM 52920の活用

AM製造(AM受託製造業あるいは自社内のAM製造部門)

工程設計の基盤として

• 品質文書類のたたき台作成・チェックに

• 組織のQMSにAMプロセスを組み込むために

• AM製造プロセス・製造サイトのISO/ASTM 52920準拠の第三者認証機関による証明
AM製造サイト認証

AM調達

調達仕様の基盤として

工程監査・品質監査の基準として

品質保証できるAM調達先の選定に
AM製造サイト認証

工程監査・品質監査のコスト・工数の低減に
AM製造サイト認証

AM設計・AM経営企画

AM技術の現状の把握や、技術情報の収集に役立つ関連規格の発見に


関連リンク

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